イタリア料理店「リストランテ・フローリア」オーナーシェフであり、YouTuberとしても活躍するChef Ropia氏が初の著書『極上のおうちイタリアン たった3つのコツでシェフクオリティー』(小社刊)を上梓した。そこでイタリア料理界の巨匠である、南青山「アクアパッツァ」シェフ日髙良実氏との対談。どこまでが「イタリアン」なのか、そして巨匠のこれからの展望も明かされる。

自分なりにイタリアの文化を学び土地を感じよ

Ropia 先日お会いした時もちょっとお話したんですけど、実は僕10何年前に長野で開かれた日髙シェフの料理講習会に参加したことがあるんです。200人くらい参加者がいて、その中で「最後に質問ある方いらっしゃいますか?」ってときにハイって僕が手を挙げまして。

日 髙 驚きましたよ。

Ropia 「和風パスタとか創作イタリアンとか、いろいろあるんですけど、どこまでをイタリアンだと線引きしたらいいか」って、その当時にも聞いたんですよ。で、その時シェフが答えてくださった答えが「料理だけじゃなくて、自分なりにイタリアの文化を学んだり、イタリアに旅行でもいいから行って、自分でその風を感じて、そのうえで作る料理だったらいいんじゃないか」っていう。

日 髙 時代を感じる意見ですね。でも今では、この世界もだいぶ変わってきました。今のヨーロッパのシェフ、イタリア人のトップを走っているシェフも、日本料理をすごく意識していますから。向こうの二つ星三つ星レストランに行くと、意外と日本の技術を駆使してやっている。クロスオーバーしていますよね。

Ropia そうですね。イタリアの方々が保守的っていうイメージがあるんですけど、最近はそういうところも崩れていて。

日 髙 生の魚も食べるし、お寿司も食べるでしょ。日本料理屋さんも結構できているから、やっぱり変わってはきていますよね。

Ropia イタリア料理界を目指している若い子たちに向けてという意味では、やはり文化の勉強は大事ですよね。

日 髙 そうですね。外国の食文化を自分のもので表現していくのであれば、まずそれに対して興味を持つべきでしょう。まあ、今は現地に行かなくてもインターネットで色々な情報が手に入るわけだから、そういうものを見てイタリア人、イタリアの食ってどういうものなのかを知る気持ちが、やっぱり必要なのかなと思いますね。

Ropia なるほど~。僕も動画で色々言ってきましたけど、今のシェフの言葉が全てなんじゃないかなと思います。