テレビでも大人気の「予約がとれない伝説の家政婦」シマさんは、築60年の古民家にフランス人の夫・ロマンさんと二人の息子の四人暮らし。フランスでの料理研修時代や結婚してから気がついたのが「自然に食べることの楽しさ」を教えるフランス流の子育て。家で過ごす時間が増えた皆さんに向けて、シンプルでおおらか、でも厳しさもある「みんなと同じ」ではない「自分らしく暮らす」ヒントを教えてもらった。
※本記事は、タサン志麻:著『ちょっとフレンチなおうち仕事』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
大人が食べ終わるまで子どもは遊ばせない
フランスに住んでレストランで研修をしているとき、子どもたちが食事をする姿に出くわすこともありました。そのとき驚いたのが、子どもたちが騒ぐことなく、おとなしく、大人といっしょに食卓について食べているということ。日本とは少し違うなと感じていました。
ロマンと結婚し、フランスの家庭を訪ねることが増え、自分たちの子どもとの暮らしが始まって、その理由がわかってきました。
親が楽しく、おしゃべりをしながらテーブルを囲んでいるところに、子どもたちは必ず、いっしょに座っています。子どもも親と同じものをよく食べるのですが、ずっと同じテーブルにいるというのも、フランスらしい習慣だと感じます。
子どもはすぐ飽きてしまうので、私はつい、息子を椅子からおろして遊ばせてしまうのですが、ロマンはできるだけ、親が食べ終わるまでテーブルにいさせようとします。
もちろん、どうしても離れたがることもありますが、そういうときも、自分勝手にテーブルを離れることを許さず、ちゃんと親の許可を取ってからという、順番を守らせます。この繰り返しで、子どもは、おとなしくテーブルにつくことを学んでいくようです。
いっしょに食卓につくことのメリットは、マナー面にだけあるわけではありません。
親と食事をすることで、子どもは親が楽しそうに食事をしている様子を見ることになり、自然に食べることの楽しさを知っていきます。おいしいことはもちろん大切だけど、みんなに楽しいって思ってもらえるほうが、もっとうれしいので、私自身も、家族で食卓を囲む楽しさを、どんどん子どもに伝えていきたいです。