子ども扱いせずに論理的に𠮟るフランス人

大人が食べ終わるまで、子どももいっしょに食卓に座らせておくという話をしましたが、そんな具合に、案外フランス人は「しつけ」に厳しいなと思うことがよくあります。

ロマンはまだ20代中盤と若く、子どもといっしょになって歌ったり踊ったりとよく大はしゃぎをしますし、どっちが子どもかわからないと思うことも多いのですが、子どもたちが悪さをしたり、わがままを言ったりしたら、ビシッと叱ります。

たとえ息子が泣き出しても、だめなものはだめとはっきり伝え、それでも言うことを聞かなかったら「Au coin!(オ・コワン!=隅へ!)」と言って、部屋の隅に連れて行き、壁のほうを向かせて反省を促すこともあります。

フランスでは、今も、大人が子どもに対して上位に立っていると感じます。だから、親どうしなど、大人が話をしているときに息子たちが割り込んでこようとすると「今は、お話をしているから待っていてね」と説明し、子どもをいつも優先することはしません。

私が子どものころは、祖父や父がピリッとした空気を作り、子どものわがままを許さない雰囲気がありましたが、ちょっと、その時代の日本に似ているなと感じることがあります。

叱るときは、頭ごなしに怒るというより、なぜダメなのか、大人に説明するのと同じように、言葉で説明しようとするのも印象的です。

小さい子どもだからわからないとは決めつけず、子どもを子ども扱いせず、論理的に説明するのがフランス人の特徴。ロマンも遊ぶときは思いっきり遊んで、子どもをすごく喜ばせる一方、叱るときは、言葉を尽くして叱っています。感情的に怒ってしまうよりも、親も冷静になれるので、とてもいいことだなと感心しています。

▲二人の息子と遊ぶロマンさん

フランス人は「川の字」で寝ない

日本では子どもが生まれたら、親と赤ちゃんがいっしょに寝るのが一般的だと思います。子どもが小学生になっても、親子が川の字に寝ているという家庭も多いのではないでしょうか?

フランスでは、それは、ほぼありえません。それどころか、生後数カ月のころから、親とは別の部屋で赤ちゃんを一人で寝かせるというお宅も多いようです。

わが家でも、基本、2歳の長男はもちろん、0歳の次男も、夫婦の寝室とは別の子ども部屋で寝ています。

泣き声がしたら様子を見に行きますし、別の部屋から子どもの様子を観察できるベビー用モニターも導入しています。寝ている間、別の部屋まで何度も様子を見に行く必要があり、ミルクのたびに起きていかなければならず、最初は大変です。

でも、一人で寝ることで子どもは自分の睡眠リズムを作ることができるのか、寝る訓練になるのか、自然と一人で寝ることに慣れていく気がします。とはいえ、わが家では長男のときはスムーズにいきましたが、次男はなかなかうまくいかないので、子どもによっても違いはあると思います。

フランスでは、日本よりずっと早くから子どもを自立させようとする傾向があります。子どもといっしょだと親はゆっくり寝られませんし、疲れます。

子どもが生まれたからといって、100%子ども中心の生活にしないのがフランス人。夫婦関係が良好であってこそ、子どもも幸せと考えているようです。

どちらのやり方が正しいというつもりはありません。でも違う考え方があると知ることは、それぞれの家族にあったやり方を導き出すのに役立ってくれると思うのです。