「全席禁煙」は〝働きやすい環境〟と〝人材確保〟も実現する

――ホールで働くスタッフさんの反応はいかがでしょうか?

石橋店長 たとえばクリーンスタッフの作業量も全然違ってきます。これまでのクリーンスタッフの主な作業といえば、灰皿の交換であるとか、周辺を拭いたりだとか、吸い殻ためた匂いのキツい水を取り替えたりだとか、肉体的に負担が大きいものでした。そういった作業が一切ないというだけでも、負担軽減という視点から相当大きいことは間違いありません。

もちろん、毎日、ほこりの拭き上げなどは気を付けてやってはいますが、やっぱりヤニの汚れとほこりでは全然違います。ほこりでしたら染みつくことはないので落とせばいいのですが、ヤニは拭いても拭いても取り切れない部分があります。清掃をお願いするお取引先様を含めて負担の軽減につながりますし、当ホールとしても実はコスト的にもかなり有効です。

――今のお話を聞いて、パチンコ業界に限らず、禁煙によるさまざまなメリットについては、あまり気づいている人が多くないのと思いました。

石橋店長 当然、働く人にとっての魅力…つまり快適な職場にもなります。マルハンはなんばに本館と新館がありますが、実は全席禁煙を実施している「新館で働きたい」というキャストさんの数が圧倒的に多いんです。(健康増進法が実施される2020年)4月以後、禁煙・分煙によるお客様離れを心配する店舗も多いようですが、清潔さを維持するためのコストや、人手不足が問題になる中で、「健康を害さない働き方の提供」はメリットになると思いますし、今後はもっと必要になってくると思います。

「パチンコ店って時給はいいけれど、タバコの煙が嫌」という方の考え方も変わってくると思いますし、(箱による)玉積みがなくなって腰を痛めないようにもなっていますので、働き場所としてパチンコ店を選んでいただけるような、そんなプラス面も見込めると思います。

――私も〝人手不足の解消〟という発想はありませんでした。

石橋店長 私はリクルーターとして、マルハンの採用活動にも携わらせていただいておりまして、実際に営業部のほうで大学生の採用面接もするのですが、やはり懸念されているのは、タバコのことや、腰を痛めないかといった健康面の問題だったりします。そこで、4月からは禁煙になることを伝えると、「そうだったんですか」と驚かれたりするので、まだまだ知られていないようです。

実は、応募してくださる方も約7割は「パチンコをやったことがない」、あるいは「今回面接を受けるために一度だけやってみた」という方です。やらない主な理由としてはやっぱり「タバコの煙」があります。あとは「怖そう」、そして「うるさい」。私がリクルーターとして面接していて、本当にこの3つが人材確保のネックになっていると強く感じます。逆に言うと、この3つを除くことができれば、若い人たちがパチンコにもう少し親しみを持って遊んでいただけるのかな、と思います。

――パチンコ全体に対するイメージもアップしますよね。

石橋店長 ただ「うるさい」の解消はなかなか難しいですし、「怖そう」もポップなどで努力はしていますが先入観というのもあって簡単ではありません。ただ「タバコの煙」に関してはできることです。健康増進法改正をピンチではなく、働きやすさが改善できて、かつ若者がパチンコをやらない大きな要因のひとつが取り除けるチャンスと捉えることができると思います。

――ちょっと聞きづらいのですが、舞台裏のスタッフさんたちも分煙ですよね(笑)

石橋店長 私たちスタッフの仕事場も当然分煙です(笑)。喫煙所ではタバコを吸うこともできますが、衣服などにニオイがつかないようにスプレーで対策することになっています。お客様に分煙をお願いしているのに、スタッフからタバコのニオイを発してしまってはいけませんので、かならずスプレー消臭してからホールに戻るようにしております。

――安心しました。次回はマルハンさんのチャレンジ精神についてお聞かせください!

【取材後記1】
なかなかパチンコホールの店長さんとお会いすることはないので、取材前は少しドキドキしましたが、石橋店長のお話を聞いてみると〝お客様ファースト〟が言葉のあちこちから溢れていて、他業種の私も参考になることばかりでした。次回はリーディングカンパニーとしてのマルハンの社会的な取り組みついてお届けしたいと思います。

[プロフィール]
石橋美紀彦(いしばし・みきひこ)
1978年8月2日生まれ。2001年『マルハン』入社。伊川谷店(神戸市西区、閉店済)、天理店、橿原南店(以上奈良)、水走店、きずり店、水走店(2回目) 、摂津ライト館(店長昇進)、茨木店、大東店、原山台店(全て大阪府)の勤務を経て、2016年8月11日に『マルハンなんば新館』の店長に就任。
お客様へのモットーは「パチンコスロットの楽しさを伝えたい」。 自分へのモットーは「生まれた時、あなたは泣いていて、周りの人は笑っていた。 あなたが死ぬとき、あなたは笑って、周りの人が泣いている。 そんな人生を送りなさい」


『株式会社マルハン』公式HP

『エンタメ業界〝インサイド〟レポート』は次回2/15(土)更新予定です、お楽しみに。