スーパーフリータイムのおかげでできた本

――そもそもnoteでの投稿を始められたきっかけは?

BKB  新型コロナウイルスの影響で、3月の中旬くらいから一切仕事が入らなくなって。何時に起きてもいい。何時に寝てもいい。何もしなくてもいい。しかも、他の芸人も仕事がないから、焦りとかも一切ない。僕の中では“スーパーフリータイム”と呼んでいたのですが、2週間も経つとやることないし、他の芸人さんは〇〇リレーとか始めているし。ピン芸人なので、自分で何か発信しなければ忘れられてしまう。

そんな中、後輩のオズワルド・伊藤(俊介)が「バイクさん、noteやってみないですか?」と言ってくれて。「でも、おれ何も書くことないし……。昔ショートショートやってたくらいやわ」って話したら「それ! それですよ! いいじゃないですか」と力説されて。背中を押してもらって始めたって感じです。

――それより前からnoteの存在は知っていた?

BKB 知っていました。でも怪しいなぁって思っていました。投げ銭とか記事が有料とか怪しいって。でも、オズワルド・伊藤に聞いたら安全ですって言われて。なら書いてみようかなと。見てみると、芸人の中でも有料で記事を出している人もいて。僕も最初は有料で出そうかなと思ったんですけど「有料にしたら、誰も見てくれないだろうな」と思いました。

――有料というのは読者にとって、ひとつの壁になりますよね。

BKB そうですね。あとは拡散力。やっぱり有料だと、僕のことを応援してくれている人しか買ってくれない可能性が高い。そうなると拡散もされない。拡散されないって一番の悪だと思っているので。自分のことを書いているなら、ファンだけに読んでもらうので全然OKでしょうけど、僕が書くのは小説なので。BKBのファンじゃない人にも読んでもらいたいと考えて、50日間無料で出したれ!って勢いで決めました。それで、50日間、書き続けたら本になりました。人生って本当になにがあるか分からないですね。

▲取材後、撮影に応じてくれたバイク川崎バイクさん
<編集部より>
前編では、この小説集の内容や誕生するきっかけになったnoteへの投稿についてお聞きしました。後編は、お話を作るうえでの苦労や自信作について聞いていきます。お楽しみに!