昨今、気が滅入るような介護のニュースを聞くことも多い。しかしこの人の周りにはきっと笑いや幸せがあったはずだ。底抜けの明るさと、チャラ男漫才で人気を博すお笑いコンビEXIT。ツッコミのりんたろー。さんには介護施設で8年間アルバイトをしていた経験がある。現在ワニブックスnoteで「介護幸福論」を連載する田端到さんを聞き手に「介護における幸せ」を語ってもらった。
介護の現場にあった楽しさと笑い
田端 介護施設で働いていたのは地元ですか、東京に来てからですか。
りんたろー。(以下、りん) 東京です。22歳で上京して、最初はパチンコ屋のバイトとかしてたんですけど、家の近くで新しい介護施設の募集があったんです。ぼくは、もともとおばあちゃんっ子だったし、パチンコ屋でドル箱を運んでるなら、おばあちゃんを運んだほうがいいなと思って。
田端 確かに(笑)。介護の現場って女性の職員が多いから、りんたろー。さんみたいにガタイのいい男がいると、それだけで助かる力仕事も多いですよね。
りん お風呂に入れてあげたりするのは力も要るし、介護の中では気をつかう仕事ランキングの上位に入りますね。お風呂は滑るんで、怖いんですよ。
田端 知らないおじいちゃんおばあちゃんの世話をすることに、抵抗はなかったですか?
りん そういうのは全然なかった。お年寄りと話をするのは楽しかったし、チャラ男とおじいちゃんおばあちゃんがコラボしたら、新しいお笑いが生まれるんじゃないかって。実際、芸人としての成長につながったと思うし、ネタにも活かされた。
田端 「チャラ男が高齢化社会楽しんじゃってます!」という漫才ネタもありますね。YouTubeにも上がっている。でも、介護ネタをお笑いにするのは気をつかうでしょう。
〇チャラ男がザイマンで高齢化社会楽しんじゃってます!
りん そのハードルを下げているのが、ぼくが8年間介護をやったことだと思うんで。しんどいところも経験してるし、一般の人がお年寄りをネタにするのとは違うハードルになっている。
田端 いじるにも愛があるから許される。愛のない“いじり”とは違う。
りん その辺は言葉の節々に出ると思っていて。ぼくはずっと愛を持って接してきたので、自信を持ってお笑いに昇華していこう、と。