季節は夏から秋へ――アメフラっシは走り続ける!

ちなみに、この日は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ライブ中にもステージ奥と観客席のうしろにある大きな扉を30分に1回のペースで全開放し、徹底的に換気するという対策も取られた。

基本的にはMCコーナーのときに扉が開けられた。これは「扉開放時には大きな音を出せない」という制約があり、歌うことができないという事情があったからだが、あいらもえかのユニット曲では、その制約を逆手にとって2人がギターで弾き語りをするアコースティックコーナーを披露した。

屋内でのライブなのに、背景には青空と緑が広がる。まるで野外フェスのステージを見ているような感覚。さらに外から入ってくる風を利用しよう、とステージ上にはたくさんの風鈴が並べられ、涼やかな音色を奏でていた。同時に外からセミの鳴き声も聴こえてきて、なんとも風情のある弾き語りステージになった。

先月の「無観客ライブ」では、あくまでも4人でのパフォーマンスに特化したため、こういった「個」にスポットをあてるような演出はできなかったが、ひとつのライブの中で、ありとあらゆる側面を見せることができるのが、今のアメフラっシの魅力であり、ステージを構築していくうえでの強味でもある。

もっとも、ここ数日、首都圏は激しいゲリラ雷雨に襲われており、この日の天気予報でもその可能性が示唆されていた。そうなったらなったでドラマティックな展開になったかもしれないが、この「夏の思い出」感が漂う爽やかなステージを見ることはできなかった。最後まで青空が広がり続けてくれたことは非常に幸運だった、と言うしかない。

ただ、前述したように入れ替わり立ち代わりで着替えたため、4人揃って浴衣姿で歌うことができたのは本編のラスト1曲のみ。そこに配された楽曲が3B juniorの『夏花火センチメンタル』だったのが、またなんとも染みる演出だった。

アメフラっシとしては、今回が初となる日テレらんらんホールでのライブだが、3B juniorとしては過去にこの会場で何度も公演をおこなっており、この楽曲を披露したこともある。その曲を「あいらもえか」の演奏でしっとりと歌い上げる。しっかりと成長してこの場所に戻ってきたことを、4人は2020年の夏の思い出のひとつとしてステージに刻みこんでみせた。

そしてアンコール。もちろん客席から「アンコール」の声はひとつも飛ばないのだが、メンバーがステージから消えるや、すぐさま「もっと見たい!」という叫びにも似た大きくて、感情のこもった手拍子が何分間も響き渡りつづけた。 

するとパッとステージが暗転し、そこにピンスポットが当たると白いTシャツとキャップ姿に着替えた4人の姿が浮かび上がる。3パターンの衣装を楽しむことができるのは、やっぱりお得感がある。そしてラストを締めくくったのは『明後日の方向へ走れ』。序盤で披露された『走れ!』メドレーの記憶がよみがえり、イッキに大団円感が出る。

ただ、そこにも仕掛けが。この曲がラストに歌われることはけっして珍しくはないのだが、今回、披露されたのは初披露となるリミックスバージョン。いつものように見えて、じつは新しいもので幕を閉じていたのである。

つまり、これは未来への壮大な「予告編」だ。Withコロナ時代へ向けて、有観客ライブという大いなる第一歩を踏み出したアメフラっシ。今回はファンの全面協力を受けて、新たな道を拓くことができた。

それを鈴木萌花は「奇跡のような時間と空間」と表現し、小島はなは「みなさんのおかげで私たちは救われています」と正直な言葉で観客に感謝した。

ただ、これを「奇跡」から「日常」へと変えていかなくてはいけない。それを考えると、次に踏み出される「二歩目」は非常に重要なものとなってくるが、もう一歩目を踏み出すときに感じた不安や逡巡はない。声援禁止という異例の条件下で観客を満足させることができた。これで可能性は無限大に広がった。

終演後、メンバーが会場の外に出ると、ちょっと秋の気配を感じるような涼しい風が優しく包みこんでくれた。

季節は巡る、時代は変わる

2020年の秋、そして冬

まだまだアメフラっシから目が離せない!

【特別編の追記】
今回はコロナ禍と猛暑、そして有観客ライブのブランクという三重苦の中で、アメフラっシは見事に最後まで歌いあげた。そして、そこにはスタッフたちの並々ならぬ奮闘があった。そんな舞台裏レポは、後日お届けしていきたい。

 『毎週アメフラっシ!』は次回8/18(火)更新予定です、お楽しみに。


■アメフラっシ「AMEFURASSHI SPECIAL EDITION Vol.7」
 
■雑踏の中で
 作詞・作曲・編曲:藤田卓也

 ■バカップルになりたい!
 作詞:桑原永江/作曲・編曲:松浦雄太

<配信サイト一覧>
https://ssm.lnk.to/AMEFURASSHISpecialEditionVol7
新曲の「メタモルフォーズ」が7月1日(水)午前0時より配信スタート! 新しいフェーズを予感させるダンスナンバーです!! さらにこれまでライブ会場のBGMとして使用されていたアメフラっシのリミックス音源「Pray for Rain ReMix by pepensow」の配信もスタート!

■「メタモルフォーズ」
作詞:MEG.ME/作曲・編曲:R・O・N
 
■「Pray for Rain ReMix by pepensow」Remix by pepensow
 
<配信サイト一覧>
https://ssm.lnk.to/amefurasshi