7月18日(土)の生配信ライブの舞台裏を、日曜日の緊急レポートに続き配信する。今回、運営の協力を得て、リハーサルから会場に入ることができたので、この連載でしか知り得ない情報を2週に渡って皆さんにお伝えしていこう。

どんどん失われていく「今」という時間

「これまでとはちょっと違ったライブをやりたいんですよ。もう同じことを繰り返していても仕方がないと思うし、そういう段階にきていると思うので。いままでのアメフラっシが好きだった人たちからは賛否両論でるかもしれませんが、実験的なことをやってみたい」

そんな話を運営サイドから聞かされたのは、今年2月のことだった。すでに4月から定期ライブを開催することもアナウンスされており、そこで実験的な試みをやっていこう、という青写真だった。

「もう一歩進んで一歩下がる、は嫌です!」

昨年12月15日、アメフラっシが4人体制で再スタートを切った神田明神ホールのステージで、愛来はそんな心の叫びを口にした。あのひとことを聞いていなかったら、僕はアメフラっシを追い続けることがなかったかもしれないし、少なくとも、この連載を始めてはいなかったと思う。

そして、運営サイドもその言葉の重みをしっかりと受け止め「一歩下がらずに、次の一歩を踏み出す」ための方策を一生懸命、模索していた。

せっかく力がついてきているのに、同じことを繰り返していたら、それは「足踏み」である。だから、新しいことにトライする。その前段として、3月には愛来と鈴木萌花が舞台に挑戦し、その真裏で市川優月と小島はなの「ゆづはな」がアイドルフェスのステージに立つ、という試みも行われていた。

しかし、次の一歩は踏み出せなかった。3月以降、コロナ禍によってたくさんのイベントが中止や延期に追いこまれた。アメフラっシの単独ライブもご多分に漏れず、やむなく中止になってしまう。

もう、こればっかりは仕方のないことだ。世界中ですべてのアーティストが同じ憂き目に遭っているわけで、アメフラっシだけが不幸になったわけではないのだから。

でも「今」という時間はどんどん失われていく。

以前にお届けした愛来と市川優月の対談の中で、愛来は「もう1年の半分が過ぎて、そのうちの半分がなにもできないまま過ぎていった」と、ライブができないでいることへの不安と焦りを正直に吐露してくれた。