「後追いをしない」という美学。でも書きたかった!

――芸と同じくらいハイテンションで書きあげられたんですね! 追加の書き下ろしで『ちょっと聞いて、さっき死んだんだけどさ』の続きを書かれていました。数あるお話の中から続編を書こうと思った理由は?

BKB まず、僕が考える短編小説の良さって「後追いしない」ことだと思っているんです。例えば『電話をしてるふり』も、女の子のその後をどうこう言うのは野暮だと僕は思っていて。小説の中のあの子の物語は、あそこでもう終わりなので。

でも唯一、続きが書きたくなった&見たくなったのが、あの話でした。ネタバレになるけど、最後に女性が生き返るじゃないですか。後追いしないのが(短編小説の)良さとか言っておいてなのですが、生き返るしハッピーエンドだから、ええかなと言い訳を作りながら書きました。

書き終えて感じたことは、この話は最後まで書ききることができて良かったなと。

あれ、なんか文豪みたいなこと言うてもうたかも……!(笑)

――noteを始められてから、バイクにちなんで8(バ)時19(イク)分に投稿するというのも、芸が細かいなと思いました。

BKB 気付いてくださってありがとうございます。自分で何か縛りを付けるのが好きみたいで。“芸”もBとKとBだけで縛る、という茨の道を選んでいますから……。

投稿時間については、決めた方が自分にプレッシャーになるので良いのかなと。後は、ありがたいことに気付いてくださった方が「8時19分に更新されるのを待っていたら早起きになりました」という嬉しい言葉もくれて。そういった言葉が励みになって、何とか毎日時間を守ることができました。

オチは先に決めるか、最後に決めるか?

――お話の作り方について聞かせてください。お話を考える時は、オチから作っているのですか?

BKB 基本的にはオチから考えました。ショートショートは終わりを決めて、そこに向かうというやり方が合っているかなと。7割はオチを考えてから書いて、3割はとりあえず書き進めながらオチを探していく……っていう感じでしたね。

書き進めていくうちに、コツも掴めてきました。大体20日目くらいかな。パターンやシステムなどを理解できたのが大きかったです。

――目次を見た時に「うわ、このタイトル気になる!」と、まずタイトルで心惹かれました。タイトルはどうやって付けられたのですか?

BKB 嬉しいお言葉、ありがとうございます。話の作り方と一緒ではあるんですけど、最初から浮かんでいるものもあれば、書いていきながらタイトルを探すこともありました。ただ、タイトルはめちゃくちゃカッコつけたいという思いがありましたね。

『起承転結・結・結』は書く前に決まっていました。『偶然<必然』はオズワルド・伊藤(俊介)が考えてくれました。伊藤は他にも「バイクさん、このタイトルで話を作ってくれませんか?」と言って『思い出を食べるチャペルと思い出がないミナトの物語』というタイトルだけ送ってきたりしましたね。これは題材がすごく良くて、タイトルがすべてを物語っていたので書きやすかったです。

後は、お恥ずかしい話なんですが、どうしても浮かばない時や困った時は、英語にするというテクニックも覚えました(笑)。

――ショートショートのお話と、芸人としてネタを考えるというのは別物?

BKB うーん……。ちょっと近いところにいる他人って感じ。隣の席に座っている。でも、知り合いではない……みたいな。もともと考えていたコントを、ショートショートにアレンジしたお話もあります。そういうこともあり、やっぱり近いところにいるなと感じることが多かったです。

もちろん逆も然りで、ショートショートを書いたことによって、ネタを書く幅だったりアイデアが広がった部分も多々あります。

――大好評で重版も決まったとのことです。多くの方々が手に取ってくださっています。読者の方々に一言お願いします。

BKB 皆さんのおかげで本を作ることが出来て、多くの方々に読んでいただけていることが本当にありがたいです。noteは横書きでしたが、本ならではの縦書きの良さというものが出るように、改行やちょっとした仕掛けもしました。そういった部分も見てくれたら、嬉しいですね。

ショートショートを書いたことで培った経験や知識を、芸の方でも活かしていきたいです。今は、なかなか各地に行くことも出来ないですが、落ち着いてきたら、皆さんの顔を見にツーリングも兼ねて営業に行きたいですね! バイクだけにブンブン!レッツゴー!

――BKBさんらしい最後で締めてくださいました。本当にありがとうございました!

▲ 書籍を持ち撮影に応じてくれたバイク川崎バイクさん