券売機にコインをチャリンチャリン
前置きが長くなりましたが、まあ安くて嬉しいなってことで、乾杯。プハー。残暑っていうのかな。まだ暑いけど、なんだか少しだけ秋の気配を感じさせる、ちょっと遠慮したこの時期の日差しが私は好きです。寂しささえ感じさせる夕暮れに飲む一口目の酒は、どこまでもうまい。二口目もうまい、いや、何杯飲んでもうまいな。あはは。
酒がうまいときたら、つまみも頼まなくてはいけない。300円あたりの価格帯のつまみが充実しています。あれが食べたいなと思ったら、券売機にコインをチャリンチャリン。ついでにホッピーの中身もお代わりしたいと思ったら、コインをさらにチャリンチャリン。このお金が落ちていく音が私は好きで、自分が汗水垂らして稼いだ金が、酒に生まれ変わっていく瞬間に立ち会ったような高鳴りを感じるんです。よし、どんどん入れちゃおう。
この日、私のお酒に付き合ってくれたのは気鋭の若手料理家で、実は昼間に一緒にお仕事をした後の酒席だったんです。彼もまたお酒が好きで、あっという間にグラスを空にする飲みっぷりに感心します。5分で大瓶を飲み干して「そろそろ日本酒にいきませんか」って目で私をじっと見つめる。あんたも好きねぇ。
聞けば、こちらのお店の母体は酒問屋さんだそうで、なるほど、だからうまい酒をこんな値段で提供できるってわけだ。飲み放題のチケットを購入して「はじめます」と一声かければ、1時間の飲み放題のスタートです。さて何を飲もうかな。
あれがいい、これがいい――友人と一緒にワイワイと選んで飲んでいるうちに、気がつけば私はあっという間に酔ってしまった。日本酒を飲むと、私は愉快な気分になります。いいぞいいぞともう一献。全体的に辛口の酒を揃えているから、つまみにもあう。だから酒が進む。飲み過ぎた自分が悪いわけではない、うまい酒とつまみが悪いんだ。「なんて店だ!」と鼻息を荒くして、千鳥足でまた違う酒を選びにいくわけです。
酒が進むと、喉が渇く。喉が乾くから、酒を飲む。ふと横を見ると、友人は酒と一緒に、水を飲んでいる。なるほど、そうすればいいのか。ピンと閃いた私は、力強い足取りで、券売機に向かって、サワーのボタンを押した。日本酒と一緒に、チェイサーがわりにバイスサワーを飲む。ああ、うまい。さっぱりしたバイスは、日本酒との相性もいい。交互に二つの酒を飲みながら私はぼんやり思うわけです。1日仕事を頑張ったのは、このサワーのためだったのかもしれないって。
「まもなくお時間です」と声をかけられたので、そろそろお暇をしましょう。この日飲んだ日本酒は、しめて10種類。飲み過ぎたけど、楽しかった。幸せな酒と、友達との幸せな時間。いい1日だった。どれだけ飲んでも、お財布が痛まないのは、やっぱり嬉しいもんです。さて、いい気分になったところで、お店をあとにします。すっかり日が暮れたけど、頬をなでる風が気持ちいい。いやあいい1日だった。そしていい店だった。
さて次はどの店にいきましょう。ふらりふらりと次の街へ。
『立ち飲み・マイ・ラブ♡ - 痛みに負けるな!-』は次回9/11(金)更新予定です、お楽しみに。
■立呑み 源太郎商店
住所:東京都渋谷区恵比寿1-4-1 アーバンハウス106
電話:03-6277-2680
営業時間:15:00~23:00
定休日:日曜日
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店前にご確認ください。