福島の立ち飲みはソーシャルディスタンス◎

福島にいます。

小さい頃、猪苗代湖に遊びに来た記憶はありますが、大人になってから訪れたのは初めて。いやあ、いいところだなと思いました。まず食事がおいしい。おコメはもちろん、福島牛と呼ばれる銘柄牛もうまかった。桃も有名ですね。

あとは、人がいい。寡黙であまりしゃべらないんだけど、人懐っこい。会う人会う人「どこから来たの? 東京? わざわざありがとうね」と言ってくれるんです。嬉しいじゃないですか。これまで生きてきて、こんなに感謝されたことありません。

フレンドリーだけどシャイ。地元のことが好きだけど、自分で言うのは恥ずかしいみたい。だから私が「福島っていいとこですね」と言うと、ちょっと照れたような笑みを浮かべるのです。福島いいぞー。

▲福島で立ち飲みを探します

閑話休題。私のライフワークである立ち飲みのお話に。

地方に行くと、立ち飲み屋を探してしまいます。すると気付くんです。県庁所在地ともいえる大きな街でも、ほとんど立ち飲みがないことに。土地が多分にあるから、きゅうくつな作りにする必要がないんですよね。「せっかく来たんだから取材でも」とスマホで探したところ、1軒しかヒットしない。おかしいな。この連載の存続に関わる問題に直面しました。

これはアレだな、福島の人はシャイだから、立って飲むことを公言しないんだな。なんて思って駅周辺をブラブラしても、立ち飲みの気配はなし。立っているのは電柱ばかり。

というわけで、たった一軒だけヒットした(私調べ)お店に足を運んだのですが、これがいい意味で予想を裏切る良店だったので、ご紹介したいと思います。

▲東京でも暮らしていたというマスター

『立ち飲みkakato』は福島駅から東に10分ほど歩いた、飲食店が立ち並ぶエリアにあります。外観はすっきりしていて、扉も広くてガラス張りだから中がよく見えますね。これまで行った店と違ってなんだかスタイリッシュだけど、酒を飲みたい気持ちにまっすぐな私は臆することなく扉を開けます。

「いらっしゃい」

最初に入って驚いたのは店の広さです。東京の立ち飲みといえば、まさにうなぎの寝床と形容されることもあるように、狭くて細長い店が一般的。狭い土地を有効活用しようっていう、いじましい気持ちが伝わってくるんですが、やはり福島は土地があるんでしょうな。

▲爽やかなブルーが涼しげ

きれいなブルーで統一された内装は、聞けばマスターが自ら手がけたんだとか。いいね。映画の中にいるみたいだ。置いてある調度品も器も気が利いている。

メニューをながめるとクラフトビールがたくさんあるようですね。散々迷った挙句、メニューの下の方にあったハイボールを頼んで、乾杯します。なぜならハイボールとチューハイは痛風持ちにもやさしいお酒だから。 

▲糖質ゼロが嬉しいハイボール

「お疲れ様でした」

店主がニコッと笑ってくれて会話が始まりました。