1時間1000円で40種類が飲み放題
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恵比寿。それは憧れの街。街ゆく人はたいてい、仕立てのいいスーツに身を包み、女性はみんなキリッとしたメイクをして、雑誌から飛び出してきたようなオシャレな装いで、自分が街の主役のような顔をして歩いているから、東京のダウンタウン(蒲田)育ちの私は、この街があまり得意ではありませんでした。
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仕事終わりに恵比寿をふらふらっと歩いていたら、見つけたこの看板。いいですね。恵比寿って立ち飲みが多くないんです。「お、いいな」と思うと、たいてい「スタンディングバー」と書いてある。立ち飲みじゃいけないのかと突っ込みたくなるけど、街には街にあったやりかたがありますから、私が口を出すことではない。
でも私はそういうオシャレな店に入ると、お尻がムズムズして、やがてジンマシンが出てしまう。自分にあった空気感のお店は、この街にはないんだろうなと諦めていたら、見つけてしまったんです、そう恵比寿で。
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店に入ったらまず手を消毒して、食券を購入します。どれどれ。おや、一番上の目立つところに、日本酒飲み放題という素晴らしいチケットがあります。聞けば1時間1000円で、冷蔵庫のラインナップが自由に飲み放題なんだって。いやあ、なんてこった。まだ夕方前なのにこんなの見つけてしまって、私の中の「軽くいっぱい飲んだら帰ろう」という気持ちがシュルシュルとしぼんでいくのが分かります。
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日本酒飲み放題のお楽しみは後にとっておいて、まずはシュワッとしたお酒からいきましょう。この日も35℃近い猛暑日でしたから、同行した友人は迷わずビールを手に取っていました。私もそっち方面に気持ちが引っ張られたから、ホッピーを注文しましょう。瓶ビール大瓶が450円で、ホッピーセットは350円。恵比寿なのに「ちょっと待って」と不安になるくらいの値段で飲めるというだけで、私は気分が良くなってきました。
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飲み屋は多くあれど、安いことに主眼を置くのは、無粋で好きじゃありません。コスパって言葉を聞くとゲンナリします。安いのが一番なら、コンビニで買った酒を家で飲めばいいんだから。だけど、私だって人間ですから「安くしておきますよ」という空気を感じたら、そりゃ悪い気分はしないし、その分たくさん飲もうと気持ちを新たにするわけです。