リモートワークが続き、運動不足に頭を悩ます人も多いはず。そんな人には、もっとも簡単で効率良く、基礎的な運動能力を向上させるすぐれた全身運動「うんこスクワット」がオススメ。トレーナー田邊大吾氏いわく、1日たったの1分でOKとのこと。子どもと一緒に家族の習慣にしてみてはどうだろうか?

※本記事は、田邊大吾著『うんこスクワット』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

大人にも「うんこスクワット」をすすめる理由

 悪い姿勢は一種の「生活習慣病」です。少し乱暴に聞こえるかもしれませんが、大げさではありません。勤務時間の大半を座って過ごす方も多いと思いますが、坐骨をまっすぐに立てる正しい座り方をしているでしょうか。私が見るかぎり、残念ながら、そんな人は少数派かもしれません。

悪い座り方でもっとも多いのは、骨盤が後ろに傾くものです。そのままだと頭が後ろに離れてしまいますので、背骨を丸めて調整しています。この「猫背」はさまざまな病気リスクの温床になるのです。

背筋かまっすぐであれば、頭は背骨の上にバランスよく置かれます。ところが、猫背だと首と頭が前に突き出る形になってしまいます。重い頭を首や肩の力で支えなければならないのです。

当然、首周辺の筋肉は疲れ、肩こり、首こり、背中こりになります。筋肉がこわばると骨の動きも悪くなるので、背骨のしなやかさがなくなります。すると、曲げやすい腰の部分に負荷が集中し、腰を痛めやすくなります。姿勢が悪いと、もれなく肩こりと腰痛がついてきてしまうのです。

▲免疫システムにも影響する首の“こり” イメージ:PIXTA

免疫システムにも影響する首の“こり”

悪いことはそれだけに終わりません。首のこりがあまりに重症化したり、首の骨が変形してしまったりすると、神経のトラブルにつながりやすくなります。首は英語でネックですが、ネックには「脆くて弱い部分」という意味もありますよね。首は脳と全身をつなぐパイプラインになっていて、大切な神経が通っています。

ところが、そのパイプラインは、あまりにも細くて脆弱です。もし、首の骨が不自然な形になったり、周辺筋肉がコチコチにこっていたりすると、パイプラインのなかの神経にも影響が出やすくなってしまうのです。

たとえば、手足にしびれが出たりするのは、運動を司る神経に問題があるから。それが悪化すると、歩行困難になったり、排尿・排便のトラブルが起きたりする可能性もあるのです。また、首周辺の異常から、自律神経系に悪影響が出ることも珍しくありません。

自律神経系は、生きるための自動調節機能を司っているので、トラブルは深刻な事態を招きます。免疫システムに影響が出ると、ガンなどの大病にかかるリスクが高まります。

自律神経失調症は「不定愁訴(ふていしゅうそ)」とも呼ばれ、ありとあらゆる不調が全身に表れ、日常生活さえままならなくなったり、うつ病を発症して強い自殺願望を持ってしまうこともあります。たかが姿勢と侮れません。悪い姿勢の本当の恐ろしさを理解していただけたと思います。

一生涯歩くためにも正しい姿勢を取り戻そう

間違った座り方には、お尻が突き出る、骨盤が前傾するパターンもあります。これだと背骨が前に倒れてしまいそうになりますので、逆に胸をそらしてバランスを取ります。この姿勢は負荷が集中する腰を痛めやすくなります。

また、左右に崩して座るのも腰痛になりやすい形です。姿勢以外にも、誤った体の使い方をしている場合があります。

たとえば歩き方。「アクセル筋」であるハムストリングスやお尻の筋肉、内ももの筋肉を使って、内くるぶしに体重をのせて歩けばあまり疲れないのですが、「ブレーキ筋」である前ももを使って歩いたり、正しい重心で歩いていないと疲れやすくなります。

重い物を持ち上げるときも、腰を入れて股関節に力を入れればラクに持ち上がりますが、腰を折って腕の力で持ち上げようとすると腰を痛めやすくなります。

このような誤った体の使い方を根本的に直していくのに、「うんこスクワット」はとても役に立つのです。はじめは少し難しい「うんこスクワット」ですが、続けているうち、正しい姿勢でいるのが気持ちよく感じられるようになります。

そして、股関節、骨盤、背骨という体の中心部の運動機能をキープしていれば、ムダな力をかけず、ラクに体を動かせるようになり、疲れにくくなります。下半身全体の曲げ伸ばしをするスクワット運動は、全身への血流をよくしますので、肩こりや疲労感の解消にも役立ちます。

▲一生涯歩くためにも正しい姿勢を取り戻そう イメージ:PIXTA

両足裏と股関節で踏ん張る運動は、チャレンジ精神や意欲をかきたて、精神的にもいい効果が期待できます。

ぜひ「うんこスクワット」で、自分の足で一生歩いていける体を手に入れてください。