うっとりしていたのに「急にかみつく」のはナゼ?
ネコがすり寄ってきたので、顔やお腹をなでてあげていたら、急にかみつかれた。怒らせるようなことは何もしていないのに……。
こんな経験をすると「ネコは気まぐれ」とはいえ、なんだか納得できない気分が残りますね。でも「うちのネコは、かみグセがあるのかな」とか「もしかして、うちのネコは怒りん坊?」などと思わないでくださいね。
これは、あなたのおうちのネコだけでなく、どんなネコにでも起こりうることで、ちょっとむずかしい専門用語では「愛撫誘発性攻撃行動」と呼ばれています。
これは、ネコをなでていて、最初はのどを鳴らしてご機嫌にしていたのに、急に飼い主さんの手をかんだり、ネコパンチやネコキックをくり出す行動を指しています。
なぜ、ネコはこんなことをしてしまうのでしょうか。
それは、ネコの体への「なでる場所」「なで方」「なでている時間」にカギがあります。
まず「なでる場所」です。ネコは顔や首回りをなでると目を細めて喜びますが、お腹や足をなでられるのは嫌がることがあります。
柔らかいお腹は急所であり、外敵から守らなければいけない場所です。足は、もし傷ついてしまうと獲物を捕らえることができなくなってしまう大事な部分です。いずれも、さわられると反射的に警戒心が起こる場所でもあるのです。
次に「なで方」ですが、ネコが好む毛づくろいは、小さな舌をクシ代わりにして丹念に行いますね。これはネコ同士で毛づくろいをし合うときも同じです。人が指の腹でやさしくなでるのは、これと似た感触なのでネコは喜びます。
でも、人間の手のひら全体でお腹をなでたり、足をギュッと握ったりすると、その感触は「心地よい毛づくろい」とはだいぶ異なるため、これも警戒心を呼び起こす可能性があります。
「なでている時間」は、とくに重要です。
ネコはお腹や足をなでられても、気持ちがいいときはそのままさせておき、しばらくすると満足して「もう十分だよ」という気分になります。このとき、しっぽを左右に振り始めたり、耳をぺったり後ろに寝かせていることが多いです。これはネコが発している「そろそろやめて」のサインなのです。
これを理解して、そこでお腹や足へのタッチをやめればいいのですが、気づかずに続けていると、しっぽの振りは大きくなり、それでもやめないとガブッとかみつくことがあるのです。
びっくりしますよね。「なぜ!?」と思うのも無理はありません。
でもこれは、ネコの自己防衛本能によるもので、まったく悪気はないのです。「ごめんね、やりすぎちゃったね」と謝って、耳の後ろでもなでてあげれば、普通はすぐ仲良しに戻れるのでご心配なく。
ただし、ここに説明したような状況でなくても、ネコはなぜか不意にかみつくことがあります。問題行動として、飼い主さんや他のネコに対して攻撃してしまうのです。
なかには、怪我をさせてしまうほど強くかみついてしまうことも。理由はいろいろですが、そういった場合は動物病院に相談してみるとよいと思います。