なぜ犬は散歩が好きなのか?

そもそも、どうして犬は散歩が好きなのでしょうか?

犬の祖先は、リーダーを筆頭に獲物を求め群れで行動していました。そして現代を生きる犬にとって、散歩はリーダーと一緒に獲物を探す行動にあたるわけです。大好きな飼い主の横を、飼い主の歩幅に合わせ命令を待ちながら一緒に歩く……それが楽しいのです。

自由に歩かせないなんて、可哀想だと言う方がいますが、飼い主を引っ張りながら歩くのは、犬がリーダーとなり引き連れていることになります。どちらがリーダーになるかは、飼い主次第というわけです。

そもそも、犬にとって散歩はなぜ必要なのでしょうか?

一日中、家の中にいては運動不足になってしまうのは事実です。性格にもよりますが、基本的にはいろいろな人に会ったり、他の犬と遊ぶなど外の刺激が大好き。散歩は犬にとってストレス発散になるのです。

一方で、散歩が嫌いな犬はどうすればいいのでしょうか? 外に出ると楽しいことがあるように工夫してみるのもいいですね。

  1. 怖がるところを通らないようにして、ちょっとでも怖がったら抱っこをして安心させてあげる。
  2. 苦手な犬が来たら、抱きあげておやつをあたえ興味をそらす。
  3. 散歩の途中で、とっておきのおやつをあげる。

などの対処法があります。

▲散歩途中に怖がったりしたら、抱っこしてあげましょう イメージ:PIXTA

話を戻しましょう。先ほどのモコちゃんですが、年齢は10歳。山田さんは「犬は散歩させなくてはいけない」「散歩をしないと犬は病気になってしまう」と考え、10年間毎日欠かさず散歩していました。

そこには山田さんとモコちゃんの戦いがありました。山田さんにとって、散歩はつらい時間でした。そしてモコちゃんにとっても、散歩は恐怖の時間でした。お互いにつらく恐怖の時間を、10年間も過ごしていたことになります。

家ではとてもいい子なのです。元気に走り回り、とても健康です。先ほども言いましたが、散歩の大きな目的はストレス発散です。散歩による外の刺激がストレスになるようなら、散歩はやめましょう。家で飼い主との関係ができていて、室内で十分な運動ができていれば、モコちゃんのような散歩嫌いな小型犬は、無理して外に連れ出さなくてもよいのです。

▲大切なのは、犬が楽しく元気に暮らすことです イメージ:PIXTA

自分の犬の性格を、よく見て判断してください。必ず散歩しなくてはいけない、ということはありません。ただし、散歩が大好きな犬やボーダーコリ―のように運動が大好きな犬は、散歩させる必要があります。

そんな話を伝えると、山田さんは散歩を止めました。散歩に費やしていた時間を、家の庭で一緒に遊ぶ時間にしました。山田さんもモコちゃんも、毎日がとても楽しくなったそうです。

いかがでしたでしょうか。犬を飼われている方は、いま一度その性格について考えてみてください。

一点、ご注意を。今まで散歩が大好きだったのに、急に行くのが嫌なそぶりを見せた時は、身体がだるい、足が痛いなど病気の可能性があります。そのような症状が見えたら、すぐに病院に行ってください。お近くの動物病院でもいいですし、僕もいつでもお待ちしています。

今回はこの辺りで。また次回お会いしましょう。

「スーパー獣医 Dr.北澤の動物事件簿」は、次回10月13日更新予定です。お楽しみに!!


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五十三次どうぶつ病院
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