機能を充実させるだけでなく人間味も大事にしたい

――最初に『書店員すず木』を言い出したのは誰なんでしょうか?

BL!すず木 (隣にいるPR担当社員さんをジーっと見ながら)この人です(笑)。

――近くにいらっしゃった(笑)。『書店員すず木』のプロデューサーみたいな感じですね。ちなみにこの企画を考えられたキッカケはなんでしょうか?

書店員すず木P そうですね。ウチ(BookLive!)はストアとして、出版社さんからは「いい意味で個性がないね」ということを言われることが多くて、書店さんによって売上ランキングに違いがあったりするじゃないですか、あるジャンルがすごく強い電子書店とか。ウチはあまりそれがなくて、出版社さんにはBookLive!さんの売り上げランキングは「市場で何が売れているのかわかりやすい」と言われるくらい、あまり突出したポイントがなくて……。

でも一般的なものが売れるということは、万人に好まれる総合書店としてのストアづくりができているという事でもあるなと。であれば個性を強調するよりも、みんなが安心して面白いと思える作品をユーザーと同じ目線でおすすめできる書店員がいるといいな、ということで企画しました。サイトでも機能的な使いやすさはもちろん、追求していくんですが「この人がオススメしてくれるなら買おうかな」みたいな、人間味も大事にしたいと思ってます。

――年間2000冊のマンガを読んでいる、すず木さんにピッタリとハマった企画ですね(笑)。それにしても年間2000冊はすごい。

BL!すず木 そうですね。なんだかんだ計算したら、そうなるなって(笑)。

――全部、電子書籍ですか?

BL!すず木 えっと、紙も入っています。

――完全にマンガ部屋になってるんじゃないですか。

BL!すず木 はい、壁一面が本棚みたいな(笑)。それだけ新作が入ってきてるっていうことなので。出版社さん、ありがとうございます!

――Twitterの企画もされているんですか?

BL!すず木 はい、普段は別の者が担当しているのですが、年に数回、1日Twitter担当みたいな感じで、その時だけ『書店員すず木』降臨、みたいな(笑)。電子書籍コンシェルジュ企画ですね。一番反響が多かったのが『好きなマンガを3タイトル挙げてくれたら次に読む作品をオススメ、提案します』という企画で、たくさんのコメントをいただきました。1日で20件くらいは返信したんですが、それでも追いつかないくらい。

――好きな作品3タイトルで、その人の傾向を見抜いたってことですか?

BL!すず木 そうです。プロファイリングして、たぶんこういうのが好きで、これは読んでないだろう、みたいな(笑)。返信した方から知らなかったから読んでみます、実際に読んで面白かったです、みたいな感想もいただけて嬉しかったですね。

――すごいですね! 「棚」のこだわりなどもありますか?

BL!すず木 画面で真っ先に目に入るところに、どの画像を置くかは気をつけていますね。この部分がリアル書店でいうと、入ってすぐの平台だと思っているので! 話題作が手に取りやすいようにするのはもちろんなんですが、BookLive!の独自性があるキャンペーンを中心に露出するようにしています。作品はほぼ毎日追加されますし、デジタルは鮮度が命だと思っているので、電子書店の「棚」は毎日何かしら変更を加えて、みなさんが常に新しい作品と出会えるように心がけています。

こだわりとしては、やはり今は『鬼滅の刃』(集英社)なのですが、どうしようかなって思って、映画のストーリーが載ってる途中巻を目立つように表示させたりしました。

――電子書店員としての苦労、悩みなどはありますか?

BL!すず木 繁忙期や閑散期がないというところですかね。毎日新作が入ってきて、キャンペーンも次から次へと実施されているんですが、いうなれば、週刊誌を作っているような……。短いスパンでいろいろなことを決めて、実施していかなければならないのが大変です。しかもそれをしながら、もっとたくさんの漫画を読みたい! と思うので時間が足りません(笑)。

――かなりハードですね。それでも取り組みたいことなどはありますか?

BL!すず木 そうですね、デジタル特典でしょうか。BookLive!には特定の電子書籍を購入すると、購入者だけに特別な動画や画像をプレゼントできる機能があるので、こういった電子書店ならではの施策を今後も充実させていきたいと思っています。あとはユーザーさんが、今よりも簡単に好きな作品と出会えるように、作品につけるタグを数を増やしていく予定です。

例えば「ラブコメ」などのオーソドックスなジャンルは、今もあるんですが「年の差」「愛なき結婚」みたいな、内容に踏み込んだキーワードを作って、自分に合った作品を探しやすくなるようにしていきたいですね。ひとつ面白いジャンルを見つけたら、じゃあ次は何を読もうかなってなったときに「この中から探せばいいか」ってなればいいですね。あ、もちろん『月刊 書店員すず木』も、もっとたくさんの方に知ってもらえるように頑張っていきたいです(笑)。

――BookLive!さんで検索すれば、沼レベルでハマる作品に出会えるっていいですね! すず木さんが考える、電子書店・電子書籍の今後についてお聞かせください。

BL!すず木 毎日、電子書籍と向き合うイチ書店員としては、いつでも思い立った時に買えて読める、しかも場所を取らないというのが電子書籍のメリットだと思います。コロナ禍で、若者だけではなく60代~70代にもユーザー層が広がり、その魅力に気づく方がどんどん増え、電子書籍が注目されていることを体感しているので、今後は電子先行配信や、電子限定配信などの作品も増えて、電子書店が作家・出版社・読者を繋ぐ役割を果たしていくのかもしれません。

ーーたしかに、新型コロナの影響で電子書籍の需要が増えた感じですね。

BL!すず木 機能的な使いやすさを追求することは、電子書店として当然やっていくのですが、リアルの本屋さんって欲しい本がなくても「なんかないかな~」って立ち寄ることのほうが多いと思うんですよね。私たちのような電子書店運用側の手腕が問われるのはそういう「ちょっと小説を読みたいな」「面白いマンガがあれば買いたいな」といった、答えのないユーザーさんにどれだけ寄り添って、提案ができるかということだと考えています。

そのために、機能的な面でサポートするのはもちろんですが「この人がおススメしているから安心」「絶対に面白いから買おう」といった、より人間的な部分でユーザーさんに信頼してもらえるためのコミュニケーション施策や、テーマ別の独自特集や読み物を増やしていくなど、機械学習や商品の品ぞろえ以外の部分で特色を出していきたいです。

ただの「使いやすい本を売るECサイト」ではなくて、いつでも来ると新しい出会いがあって、自分の「好き」に囲まれた本棚で心を豊かにする体験ができる、ユーザーさんにとって唯一無二のサービスを提供する書店になれたらと考えています。

▲素敵な笑顔のすず木さんをパチリ!

――BookLive! すず木さん、ありがとうございました!

『いつも心に「マンガ部屋」を。』と『人生を豊かにするマンガや本との出会い』や『自分の「好き」に心ゆくまでひたれる』サービスの提供をブランドメッセージとして掲げるBookLive!さん。2021年2月には10周年を迎え、さらなる人間味のある個性的なサービスや企画を楽しみにしてます!