血反吐を吐きながら書いてます(笑)

――すず木さんが今、推したい本などありますか?

BL!すず木 たくさんありすぎて選びきれないんですが、一貫して言い続けているのは『チェンソーマン』(集英社)ですかね。あとは、ちょっと売れ始めてしまっているので、あまり言いたくないんですけど『呪術廻戦』(集英社)ですね。連載開始時から目をつけていて、単行本1巻が電子化するってときに「ウチで特集を作りたい」みたいな話を集英社さんにして、掘り下げ特集みたいなものを作ったりもしてました。

あとは……『カノジョは今日もかたづかない』っていう祥伝社さんの女性向け作品なんですけど、部屋が汚い片付けられない女性が、いろいろとうまくいかなくて思い悩んでいるときに、同じマンションに憧れてるインテリアの部屋を見つけて「ああいう部屋に住みたいな」と思っていたら、そこに住んでいた人が社内でいけすかないと思っていた男性だった、という。

で、このあと関係がどうなるのっていうのが面白くて、ドラマ化来いって思ってます(笑)。単行本とは別に「分冊版」という話ごとに読めるものと、両方とも取り揃えていますので、ちょっと気になる方は分冊版から読んでいただいてもいいですし、いきなりガッツリという場合は単行本でも。

ーー『カノジョは今日もかたづかない』気になります……。BookLive!さんで売れているのは、どんな本でしょうか?

BL!すず木 今なら『スイート リベンジ』(主婦の友社)です! 酷い男に傷つけられた女性が“落とし屋”マリコに復讐してもらう、というお話なのですが、すごく売り上げが伸びていますね。女性がサクセス!する物語が売れます。

その他だと、メディア化作品は格段に売り伸びます。メディア化に敏感なユーザーさんが多いのかもしれませんね。あとはマンガではないのですが、山下七海さんなどの声優さんのデジタル写真集が売れました。特に(電子書籍ならではの)特典付きが動きました。

――いろいろと面白い企画をやられていますが、そのなかで『書店員すず木』としても活動されてますよね。

BL!すず木 そうなんです。BookLive!の書店員として活動しているのは、私ともう1人『書店員えい子』の2人なんです。えい子は、ちょうどアラサー世代の書店員なので、アラサー向けのちょっとこじらせた女性向けの作品が得意だったり。今だったら、占い師マダム・ジ~ナの12星座占い結果から、えい子がラッキーマンガをオススメするという企画もあります。

――あ、見ました! ついつい自分の星座のマンガを知りたくなりますね。すず木さんは?

BL!すず木 私は『月刊 書店員すず木』という企画で、毎月オススメのマンガを紹介していて年間大賞を勝手に決めているのですが、昨年に引き続き今年も少年・青年マンガ、少女・女性マンガそれぞれベスト50という地獄の選定を……(笑)。

――『月刊 書店員すず木』を読ませていただいたのですが、作品に対する感想が熱いんですよね。熱を感じる文章に、ついつい引き込まれてしまいました!

BL!すず木 嬉しいです! あれを書くのにむちゃくちゃ時間がかかって(笑)。毎回、めちゃめちゃ血反吐を吐いてます(笑)。

――あ、スラスラじゃないんですね(笑)。

BL!すず木 全然ですよ。これじゃ伝わらない、とか(笑)。めちゃめちゃ苦労しました。マンガは好きだけど、好きを形にするって苦労しますね。難しいです、書くのは……本当に。

――ここまで熱く感想を書いてもらえると、作家さんもすごく喜ぶと思います。

BL!すず木 本当ですか!? そうだとうれしいですね~。

――本当にすごい熱量だなって思いました。読ませる文章で、すごかったです。ランキングは、すず木さんが1人で決められているんですか?

BL!すず木 そうです。あれは基本的にもう偏見で。本当に独断と偏見で、忖度なしです(笑)。

――売り上げに影響が出たりは?

BL!すず木 少しは売り上げが伸びるんですけど、まだ「私が推したおかげで桁が変わりました」みたいなことにはなっておらず(笑)。

――最終的にはそこにいきたいですよね。

BL!すず木 いきたいですね~。

――『月刊 書店員すず木』ですが、いつから始められたんでしょうか?

BL!すず木 2018年ぐらいからやっていて、元は『カリスマ書店員がオススメする本当に面白いマンガ』という特集名だったんですけど(笑)。「顔出ししなよ」という話が社内で持ち上がって、じゃあ書店員すず木っていう名前でやっていこう、みたいな(笑)。

――でもガッツリ顔出しはしてないですよね。

BL!すず木 そうですね。さすがに自分の顔がサイトのトップのバナーにドンっときたら嫌だなって思いまして、匂わせ女子的な感じにしてもらいました(笑)。