こんにちは。獣医師の北澤功です。みなさん、愛するワンちゃんや猫ちゃんにどういった食事をあげていますか? 可愛いあまりに与えてしまった食べ物が、ペットの体を苦しめていることがあることを今日は知ってほしいと思います。

愛犬にケーキとサツマイモを与えた結果・・・

「先生、いつもありがとうございます。私、やっと安心して眠れるようになりました。」

チワワのココちゃんの飼い主の奥さんが、心臓の薬をとりにきた際に、僕に感謝の言葉をかけてくれました。僕は「それはよかった」と応えながら、ココちゃんを体重計に乗せます。6kgとまたまた体重が減っていました。以前は7㎏を超える重さだったので、ダイエットの成果が出ています。

ココちゃんが初めて病院にやってきたのは1年ほど前。恰幅のいいご主人と何やら不安そうな顔をしている奥さんに連れられてきました。

病院に着くとすぐに、奥さんが今にも泣き出しそうな顔で「うちのココちゃん、朝起きて様子をみたら、足に力が入らないのかうまく立てないの。やっと立てたと思うと、フラフラして頭を下げたまま動かなくて……」。そう言い終えると涙を流し、取り乱しています。

僕は奥さんに落ち着くように言い聞かせながら、診察を始めました。

北澤:「ほかに症状として何かありませんか?」
奥さん:「最近、喉に何かが引っかかるような咳が増えてきて……」
北澤:「咳ですか。分かりました。ちょっと色々診させてもらいますね」

そう言って、僕はココちゃんを診察しました。

診察を終え、ご夫婦に結果を伝えます。ココちゃんは心臓の病気であることを……。太りすぎが、この病気を一層悪くすること。そしてダイエットが必要なことも。

体重が重たいので、食生活について聞いてみます。

北澤:「ドックフード以外に何かあげていますか?」
奥さん:「果物が大好きでリンゴにメロン、季節ごとに一番おいしいものをあげています。焼き芋とケーキも大好きで、特に生クリーム。あとは……」

次から次へと、人間の食べ物の名前が挙がってきます。そして「ドックフードはあまり食べないの」とも言いました。僕は、人間の食べ物をあげすぎるのは良くないこと、ドッグフードなど栄養バランスの良いものを食べさせないといけない、ということを伝えました。

奥さんは不安げな表情ながらも、僕の話を一生懸命にメモしていました。ご主人も不安そうな奥さまを見守りながら、熱心に話を聞いてくれました。二人ともココちゃんが大好きなのがひしひしと伝わってきます。こんなにも愛してくれる人たちのもとにいられて、ココちゃんは幸せだなと感じました。

▲ペットも食生活が乱れていると太ってしまいます イメージ:PIXTA