観光や留学で人気だったが東南アジアトップの失業率に

▲フィリピンの街並み、マスクをして歩く人々

とにかく仕事を失った人が多い。

今、こうやって記事を書いている私も、普段は英語学校の従業員として働いているが、海外から人の流れがストップしている今、ほぼ失業者状態だ。労働局から4月にでた1万円ポッキリの補助が最後。

フィリピン統計庁(PSA)が9月に発表した労働力調査(LFS)によると、失業率は10.0%(失業者数457万人)ということだが、民間調査機関によると「失業中」と答えた人は、国内全体で40%(失業者数2,370万人)にも上り、東南アジア一の失業率となっている。

観光産業がフィリピンの大きな収益源となっているなか、外国人旅行客が受けられないことで完全にシャットダウン。日本と同じ状況だが、リゾートホテルや観光産業に関わる会社に勤務していた人が職を失っている。

安い金額で語学留学ができるとして、日本でも知られるフィリピン留学は、韓国・台湾・ベトナム・タイなどでも人気が出ていた。これらの国々からも1〜6ヶ月と長い期間で留学生が滞在してお金を落としてくれていたため、留学地として栄えていた地域でも打撃が大きく、語学学校で講師として働いていたフィリピン人の知人も、一気に無職になった。

英語講師として働いていた人は、オンライン英会話講師へと転身。オンライン授業に必要となるヘッドフォンやウェブカムもデパートでは売り切れ。家で仕事をする人が多くなってきたが、インターネットを引くのも2週間〜1ヶ月待ちという状況だ。

ホームベース(在宅)で仕事ができる人もいるが、田舎に行くとインターネットはそこまで普及しておらず、Wi-fiのあるエリアも限られるため、地域によってはオンライン業務へのアクセスが無い場所も多い。都心部に住んでいたとしても、月給が約12,000〜60,000円のフィリピンでは、世帯によってインターネットへのアクセスに大きな格差があるので、利用が困難な人たちは職を探す幅をオフラインに絞るしかない。

インターネットへのアクセスがしづらいエリア、所得が低い人でも利用できるのが、スマホを使ったFacebookでの転売だ。服・雑貨・コスメの転売は、以前からも目にしていたことだが、新型コロナウイルスが拡大してからというもの、彼女たちの販売するドレスと靴の写真で、タイムラインが埋め尽くされることも多くなった。

フィリピンの企業が合同で、ワクチン260万回分を購入したというニュースが入ってきてはいるものの、普通の生活に戻るにはまだ時間がかかりそうだ。雇用が悪化することなく、それまで持ち堪えてくれることを望む。


金子 遼平
海外で英語を使って働きたいという漠然とした目標だけで、日本で1年半勤めた会社を退社。その後、語学留学の目的でフィリピンのバギオへ渡り、留学をしていた語学学校にそのまま転職。現地でマーケティング、マネジメント等を担当している。