腸内フローラを元気にする7つの方法

腸管免疫にもっとも影響を与えているのが腸内細菌です。腸内細菌は、腸で免疫細胞をたえず刺激し続け、免疫力を強化しています。

たとえば、乳酸菌を与えると免疫が増強されることがよく知られています。乳酸菌の細胞壁には強力な免疫増強因子があって、それが腸にいるT細胞やB細胞を刺激していることがわかっています。

ですから、免疫力を強化する方法とは、実はとても簡単です。腸内フローラを理想の状態に整えていけばよいのです。そのための方法を「腸内フローラ健康法」と私は名づけました。

▲腸内フローラを元気にする7つの方法 イメージ:PIXTA

腸内フローラが美しく、バランスもよく、多様性豊かに育つと、免疫力は高まります。そうなると、感染症にかかりにくく、かかっても重症化しにくい体になっていきます。がんやアレルギーにならないばかりか、心まで安定していきます。腸の蠕動運動も活発になり、便秘が解消され、肌の状態も整っていきます。

そのための方法は、わずか7つです。ここを日常生活のなかで、意識していきましょう。まずはできるところから、少しずつでも始めることが大切です。

1.野菜や豆類、果物類、全粒穀類などの植物性食品をとる

植物性食品は腸内細菌のとてもよいエサとなります。腸内細菌は、好物をエサにすると数を増やし、活動力を高める性質があります。植物性食品をメインに食事をしていると、多様性の豊かな腸内フローラを築けます。

2.発酵食品を食べる

発酵食品には、腸内細菌の仲間である細菌やそのエサが豊富です。腸内細菌には、仲間の細菌が入ってくると、働きを活性化させる性質があります。また、仲間の細菌がすんでいた溶液は、腸内細菌のとてもよいエサになります。

3.食物繊維やオリゴ糖をとる

食物繊維もオリゴ糖も、腸内細菌の大好物です。食物繊維は、大腸菌など悪玉菌のエサにもなりますが、これをエサにしていると悪玉菌は異常増殖しないことがわかっています。また、オリゴ糖は善玉菌であるビフィズス菌のよいエサになります。

4.加工食品や食品添加物などの入った食品をできる限り避ける

加工食品には食物繊維がほとんど含まれません。腸内環境を整えるどころか、悪玉菌や一部の日和見菌ばかり増やす原因になります。また、化学合成された食品添加物は腸内細菌にダメージを与えます。こうしたものを日常的に食べていると、腸内フローラが貧弱になり、腸の正常な機能が働かなくなります。

5.よく噛んで食べる

唾液には抗酸化成分が多く含まれます。加工食品や食品添加物のなかには、細胞の酸化をうながす物質が含まれていて、それが免疫機能を損傷し、腸内細菌にダメージを与える可能性が高いと考えられます。よく噛んで食べると、唾液と一緒に抗酸化成分の分泌を促進できます。また、腸の消化吸収の働きを軽減できます。

▲よく噛んで食べる イメージ:PIXTA

6.適度な運動をする

運動不足の人が多くなっています。運動不足でいると、人間の脳は現在が「冬」と判断し、代謝を低下させ、脂肪を蓄えさせるなど、エネルギーの産生力を落とさせます。当然、腸の働きも低下し、腸内細菌にも悪影響を与え、免疫力も落ちます。だからといって、翌日にまで疲れを残すほどの激しい運動をしてしまうのも体にはよくありません。1日に30~40分間歩く程度でもよいですし、ストレッチを心地よい程度に行うのも◎。スクワットや四股踏みなどの筋トレもおすすめです。

7.自然とふれあう

私たちの腸内細菌の大半は、土壌菌の仲間です。乳酸菌も土にいますから、土壌菌の仲間といえるでしょう。自然のなかに出かけていき深呼吸したり、土をいじったり、アウトドアを楽しんだりすると、土壌菌を吸い込むことができ、腸内細菌を元気づけることができます。