どんな状況に置かれても「必要なもの」とは?
ところで手前味噌ながら、昨年は4月に『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)、7月の『読書に学んだライフハック』(サンガ)、そして12月の『それはきっと必要ない』(誠文堂新光社)と3冊の本を上梓することができました。
本当に感謝しかないなあと感じているのですが、そこで今回は最新刊の『それはきっと必要ない』について書かせていただきたいと思います。
タイトルからも推測できるとおり、身のまわりの「必要ないのではないか?」と感じるものについての思いを記したもの。誠文堂新光社のサイト「よみものどっとこむ」で、2017年1月からスタートした同名連載をまとめ、大幅に加筆修正した一冊です。
ちなみに「必要ないもの」に焦点を当てたとはいえ、“ミニマリズム”や“断捨離”とは意味が少し違います。つまり物質的な“モノ”だけを扱っているわけではなく、考え方や価値観などを含めたいろいろなことを、改めて考えなおそうとしているということ。
また「必要ないもの」だけではなく「必要だ」と感じるものにも、いくつか焦点を当てています。たとえばそのひとつが、今回取り上げたい「感謝の気持ち」。なーんてことを書くと宗教っぽく感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、僕は一切の宗教を信じていない人間です。
つまりそういうことではなく、もっと純粋に「いまの自分が生きていられるのは感謝の気持ちあってこそ」だと考えているのです。
そう思えるようになったきっかけは、リーマン・ショックのころに仕事が激減したことでした。あのころは本当にどん底でした。思い出したくもない。
とはいえ、そもそも要領がいいわけではなく、どんな状況に置かれても“できること”をコツコツと地道にやることしかできないのです。そのため、つらかろうがなんだろうが「いま、できること、すべきこと」を愚直にこなし続けるしかなかったということ。しかしその結果、少しずつ仕事のペースが戻っていったわけです。
いってみれば、一度そんなつらい時期を経験したからこそ「いまある仕事」「いまいる人たち」に感謝しなくてはいけないと強く感じるようになったのででしょう。だから、感謝の気持ちさえ忘れなければなんとかなると信じていますし、忘れてはいけないとも思っているということなのです。
しかし、それはどんな人にもいえることなのではないでしょうか? そんな思いがあるからこそ、今回は以下の文章を「神フレーズ」としてご紹介したいと思います(自分の文章を“神”扱いすることは気が引けますが、それがこの連載のスタイルなのでご了承を)。
どのように生まれ、どんな生き方をしてきたとしても、生きている以上、その人の「生」には大きな意味があるということ。だとすれば、絶対に感謝の気持ちを忘れてはいけない。
(186〜187ページより)
偉そうなことをほざいてはいますが、僕はいまでも「もうこれで安心だ」などとは思っていません。なにしろ、いつまたどんなことが起こるかわからないのですから。
でも、どんなことがあっても、きょうをきちんと生きていることに感謝できれば、必ずなんとかなるという思いもあるのです。そこで、そのための大前提として感謝の気持ちを持ち続けようと思っているわけです。