読むのに1分もかからないシンプルな「一文」が、人生を変えてくれるかも。何かに悩んでいる時に、答えに導いてくれるのは「本」かもしれない。日本一書評を書いている印南敦史さんだからこそみつけられた、奇跡のような一文を紹介します。

人生を変える一文 -『生きている以上、感謝の気持ちを忘れてはいけない』

▲それはきっと必要ない/印南敦史:著(誠文堂新光社:刊)
〈本も人生も、99%の余計なものをそぎ落とした1%の中に、本当に大切なものがある〉年間700冊以上もの本を読み、書籍などの執筆をしながら365日毎日書評も書き続ける印南敦史。書評家として日本一認定もされ、多忙を極める彼が、限られた時間の中で何を取捨選択し、何を大切にしているのかを紹介した本。増え続ける情報やモノのなかから本当に大切ものに出会うための「取捨選択力」がみにつき、おのずと心もラクになる35のライフハックが詰まっている。

生きている以上「必要ないもの」は増えていく

新しい年が始まりました。年が明けるとそれだけで、なんとなく新鮮な気分になりますよね。

とはいえ僕は毎年、大晦日も元日も仕事をしているのです。ましてや今年はコロナの影響で妻の実家への帰省がキャンセルになったので、普段なら休みになる1月2・3日も仕事でした。

だから、例年にもまして“年末年始感”は希薄だったかな。

要するに仕事漬けだったわけですけれど、そんななか、発作的に書斎の掃除をしたりもしたのでした。年末が押し詰まったある日のこと。仕事中だったにもかかわらず思いつきで始めてみたら、いらないものがどんどん出てきて、結局は止まらなくなってしまったのです。

もう、あんまり捨てるものもないだろうな、と思ってはいたんですけどね。

なぜって、かなり前からモノを所有することに対する気持ちが薄らいでいるから。事実、ここ数年で所有物の多くを処分してきたため、もう捨てるものはないだろうと思っていたわけです。

ところが、いまあるものを改めて確認してみたら「なんでこれをとっておいたんだろう?」と思わざるを得ないものが予想以上にたくさん出てきたのです。

でも、考えてみたら、それは当然のことでもあります。

必要ないものは処分し切ったつもりでいたけれど、そもそも“処分し切った日”からまた歳月を経ているのです。したがって、その間に“残すべきもの”として残しておいたモノの価値が、自分のなかで薄れていくこともあり得ます。だとしたらそれは、“残すべきでないもの”になるわけです。

だから、そういう意味でも「在庫処分は定期的に行わなければいけないなぁ」と改めて感じたのでした。

「いらないものは処分し切った」と一度は思ったとしても、そこからまた時間が経れば、時の経過とともに自分のなかの価値観も変化していくものですから。

つまりは生きている以上「必要ない」ものは、必然的に増えていくものだということなのかもしれません。たとえば2020年12月に持ちものをドカンと処分したとしても、それ以降も時は流れます。だとしたら、おそらく半年後、1年後にはまたそれなりに「必要ない」ものは増えているはずなのですから。

だったら、やはり定期的に持ちものの一斉処分をすることが必要になってくるわけです。