外国人留学生「週28時間労働の壁」

▲外国人留学生には「週に28時間」の壁が立ちはだかる イメージ:PIXTA

続いて、恵比寿のマクドナルド近辺で待機している理由を聞いてみました。

「マクドナルドは配達依頼がたくさんだし、配達先も近いところが多い。決まった期間にいっぱい回数を配達すると『クエストボーナス』がもらえる。恵比寿や渋谷は運んだときにもらえる特別ボーナスの額が多い。自分が住んでいる郊外で配達をすると、マクドナルドなら1回の配達で400〜450円。ここなら700〜750円ぐらい」

土日、平日の昼食や夕食の時間帯になると、このあたりで特別ボーナスがつくことは私も知っています。ただし、ボーナスが出るのは1日に3〜4時間程度。わざわざ電車で都内まで通ってやる価値があるのだろうか?

「私は学生ビザで日本に来ています。このビザで認められている労働時間は週に28時間。ですから、特別ボーナスが現れる時間帯だけ、マクドナルドの近くで待機して稼いでいます。ボーナスが出なくなったら帰ります」

朝から晩まで働いて、クエストボーナスを狙う私にはない発想でした。週28時間という制限があるので、とにかく効率が求められているのですね。

▲渋谷など人が集まるところには注文もたくさん入るとのこと イメージ:PIXTA

ラヒモフさんはさらに続けます。

「配達を始めた当初は、どこへ行くと稼げるのか、全然わかりませんでしたが、同じ国の仲間に聞いたり、配達員のSNSをみて情報を集めて、この近辺が一番いいのではと。アプリが停止にされていた期間が長いので、まだ配達回数は少ないですが、この近辺の地図は頭の中に完璧に入っています。ごちそうさまでした」

来日1年目とは思えない流ちょうな日本語であいさつをすますと、仲間のもとに帰っていきました。

続いて、渋谷のマクドナルドの近くで待機していたベックさん(仮名)にも、同じように話を聞いてみました。ベトナム人もしくはフィリピン人あたりかと狙いをつけたのですが、彼の出身もウズベキスタンということでした。

「1年前に日本の大学で勉強するためにきました。最初はコンビニでアルバイトをしていましたが、夜勤は大変だし、お金もそんなによくない。今はウーバーイーツしかやっていません」

先ほどのラヒモフさんと同じく、週28時間という労働時間の制限が、配達をする一番の理由とのこと。

「コンビニでアルバイトをしても月に10万円ちょっと。ウーバーイーツなら特別のボーナスがつく時間帯だけやれば倍以上は稼げる。私の友達はみんなウーバーで働いているよ」

実家からの仕送りがほぼ期待できない。日本で生活するために自力で稼がなければならないが、働く時間が制限されている。結果、たどり着いたのがウーバーイーツのよう。同じ国の仲間3人と都内近郊で暮らしているという彼も電車で渋谷までやってきて、自転車を借りるスタイル。

「自宅の近くでも配達できるけど効率が悪い。電車賃を使っても渋谷で働いた方がいい。渋谷はマクドナルドも多いね」