アメフラっシ“プロ”になった愛来が実感した新しいライブの楽しみ方
「それが今の私の役目だと思うんですよ。愛来がお休みしたとき、そんなに心配しないで活動することができたのは、萌花とはなが歌の部分で支えてくれたから。じゃあ、私は何ができるんだろう、と考えたときに、みんなが『どうしよう？』みたいな状況になってしまったら、私が一度、落ち着いて『こうしたらいいんじゃない？』って提案する。みんながいろいろな形でアメフラっシを支えてくれるけど、私もそうすることで支えることができるのかなって」
昨年までは、みんなただがむしゃらに前進してきた部分があったが、今ではそれぞれが「どうすればグループを、そしてメンバーを支えることができるのか？」と考えながら、個々が動いている。４人が目に見えて成長している裏には、そんな精神的な変化があったのだ。
「やっぱりライブは楽しい！ ４人で歌ったり踊ったりするのは大好きだけど、久々にステージに立って気がついたことがあるんですよ。あの日は配信用のカメラがたくさんあって、そこに向かってみんなでポーズをとっていたりしたじゃないですか？ あれをやりながら、あっ、私はこうやって４人でわちゃわちゃしていることも大好きなんだって！」
久しぶりのステージを振り返った愛来は笑顔でそう言った。だが、その直後、ちょっと表情を曇らせた。
「コロナ禍でのライブって難しいじゃないですか？ いつも思うんですよ。みんな、本当に楽しめてるのかな？って。コールもできない、タオルも回せない、マスクも外せない……それだけたくさんの我慢をしてもらっているわけじゃないですか、お客さんには。いつもライブが終わったあとには『やりきった！』っていう満足感があるんですけど、ふと『でもコロナの前はあれもできたし、これもできたし……』って考えちゃうんです」
愛来は今の厳しい状況でも、なんとかして「コロナ以前」と同等の充足感をお客さんに味わってもらいたい、と真剣に考えていた。今ではマスク着用もコール禁止も“新様式”として、多くの観客が受け入れてはいるが、そこに甘えたくはない、と。
一年前、この連載がスタートするときのインタビューで「どうしたらいいのかわからない」と大号泣した愛来が、まっすぐな瞳でこれからのライブの在り方について熱弁している。本当にこの一年間で彼女は“プロ”になった。その事実だけで、もうグッとくるし、Zepp Hanedaでのライブが楽しみで仕方なくなってくる。
「ただ『メタモルフォーズ』以降の曲は、みんなコールを入れるような感じじゃなかったり、タオルを振り回す部分があるわけではないので、そういう曲が増えてきたことで、新しいライブの楽しみ方が広がってきているかもしれないですね」
