危険極まるファイザーの一本足打法

ワクチンでもうひとつ心配しているのが、ファイザーの一本足打法だ。前回書いたように、現在はファイザーだけで、6月になるとアストラゼネカやモデルナも、もしかすると出てくる可能性があるだけだ(世界中で使っているのに、日本では「可能性がある」というのもひどい)。ジョンソン&ジョンソンやヤンセン、それに中国・ロシア・インド製のワクチンは目途が立っていない。

どうしてファイザーだけなのかは謎だ。優先してもらうかわりに、ほかのワクチンはしばらく使わないとでも約束したのか? しかし、外国より特別に早いわけでない。契約交渉の不手際で後れをとったので、立場が弱かったとは思いたくない。

あるいは、今のところファイザーのワクチンが一番効きそうだから、一番いいものをということでファイザー優先かもしれないが、そのために接種が遅れてはなんもならない。ワクチンは半年から1年の抗体を作るだけだから、他社の製品でもとりあえず接種しておいて、また半年後に効くものをすればいいのである。これは変異種についての対応でもそうで、今とりあえず接種しておいて損はないのだ。

また「アストラゼネカのワクチンが、若い女性には血栓をつくる可能性が少しある」という話もある。それでも指摘されている数字くらいなら、使うメリットのほうが遥かに大きいのだし、これから副反応がそれなりに出てくるのは、ほかの薬と同じである。

ファイザーにだって、問題が出ることがありえないわけでもないし、そのときに日本がファイザーの一本足だと困ったことになる。やはり多様化はしておいた方が良い。

それから、ワクチン接種をした人に「ワクチン・パスポート」(接種した証明)を発行し、旅行や営業などでの移動を例外的に認める動きが世界に拡がっている。日本も本格検討を急ぐべきだ。

▲ワクチン接種をした人に「ワクチン・パスポート」を発行 イメージ:PIXTA

イスラエルなどは、国民のほとんどが接種しつつあるので、世界の観光地ではイスラエルからの観光客誘致に動いている。欧米では、音楽会の開催を観客全員がワクチン接種をしている条件で解禁したり、公的機関でなくとも、レストランなどでワクチン接種者以外をお断りにするのは、理に適っているからどんどん拡がるだろう。

航空機や鉄道だって、ワクチン接種している人は、それを実施していない会社には乗りたくなくなるだろう。

ところが、日本ではワクチン・パスポートの普及も後手にまわっている。マイナンバーカードの取得と携帯を義務づけるべきだと私は言い続けているのだが、そういうことができていないなかでは至難の業だと言うこともある。

しかし、ここで遅れをとると、世界中で日本人はお断りになりかねない。五輪だってワクチン接種をしていない相手と試合なんぞしたくない。

もちろんワクチン接種を強制することはできない。しかし、それなら映画館へ行ったり飛行機に乗るには、自費でPCR検査をして問題なければ、(1週間以内なら)その結果を代替させればいいことだ。それも嫌なら家に閉じこもっていていただきたいものだ。

「なぜ日本のワクチン接種は遅れているのか?」終