フリーライターの渡辺雅史氏が、配達員として実際に体験した悲哀と憂鬱の実録ドキュメント『アラフォーウーバーイーツ配達員ヘロヘロ日記』。発売を記念して元祖ウーバーイーツ芸人のお笑いコンビ・いぬの太田隆司氏と、笑いあり涙ありの特別対談をお届けします。

配達員はどうしていつも怒られるのか?

渡辺 自分はここ3年数カ月でいろいろと嫌な目にも遭ってきて、それをこの本でも書いているんですけど、太田さんもそういった経験はありますか?

太田 今でこそ、配達パートナーという理解が高まったけど、昔は店に入ってきた野良犬みたいな目で見られましたよね。

渡辺 わかるわ~!

太田 その昔、あるチェーン店で「おはようございます! 商品を取りに来ました」と入っていったら、奥から店長が出てきて「挨拶はどうした!」ってドヤされました(苦笑)。レジの人にはちゃんと挨拶したのに「お前態度が悪いな、二度と来るな!」って。あの店だけは忘れませんね。

▲怒りたいことは山ほど!

渡辺 あんたの店じゃないだろっ! と言いたいですよね。残念だけど、今でもそういう人は一定数いる。個人店もチェーン店も関係なくて、その人次第。相手が下だと見ると、すぐに偉そうな態度でね。

太田 その逆に、お茶を出してくれるだけでも嬉しくなりますよね。

渡辺 インド料理屋に行くと、ラッシー出してくれません?

太田 そうなんですよ~! 夏なんか、涼しいところで飲んで待てるなんてラッキーだなって。

渡辺 日本人なんか何も(出してくれ)ない。何がおもてなしだ、馬鹿野郎っ!

▲いきなりのぶち切れにも笑顔

太田 まぁまぁ、落ち着いてください(笑)。僕らの偏見もあるんでしょうから。面倒臭いマンションとかもありますよね。

渡辺 警備員で偉そうな人いる。入館手続きがわからなくてウロウロしていると「何度言えばわかるんだ!」ってね。

太田 配達員は同じに見えちゃうんでしょうね。「僕、初めて来たんですけど……」と言っても通用しない。向こうは向こうで、毎回教えるストレスがあるのかなぁ。

渡辺 おいしい経験なんてほとんどない。

太田 あ、僕は一度だけですけど、女の人が裸にエプロンで出てきたことありますよ。商品が多くて「ひとまず置いてくるから待っててくださ~い♡」なんて言って振り返ったらTバッグが丸見え。マジでビビっちゃいましたよ。帰りの自転車で「誘ってたのかな。行けば良かったかな」とか考えてモンモンとしちゃって。

渡辺 イヤイヤ。やめておきなさい(笑)。奥に怖い人が待っているパターンですよ。