動物たちに「恩返し」をしていきたい
――やっぱり飼ってから、どちらも幸せになることっていうのがすごく大事で、その先を見据えていろいろ考えて御社は活動されてるってことですよね。でも、ただ場所を提供するだけですから、譲渡会もペットパートナーズ宝塚店さんの利益にはなりません。にもかかわらず、実施しよう思ったのはなぜですか?
小野 そもそも僕自身の経験というか、学生時代に愛護団体さんで研修させてもらったことがあって、虐待を受けた子とか、それこそ「交配引退犬」って言われる子たち……年齢的に交配ができなくなった子とかが保護されてたりするんですね。やっぱりそういう子たちって、人を知らなかったり、人を知ってるけど怖がるんです。そんな子たちがいい顔になっていく姿を見たのが、かなり自分にとって強烈な体験でした。
譲渡会でもそこを見てほしいっていうか、大変な思いをしてきた子らを見て、触れ合って、実際にお世話してきた愛護団体の人から直接その話を聞く機会があればと思って。譲渡会についても、うちの本社が「やっていいよ」と言ってくれたっていう背景もあるんですけど。
――本社の方々も、こちら宝塚の店の方々も、みんなワンちゃんなりネコちゃんなり動物が大好きな人たちなんですか?
小野 う~~~ん、なんか「好き」っていう言葉自体が、ちょっと上からな印象があるんです。僕自身が結構しんどいときに、この子らの存在に救われた部分があって「恩返し」って言ったら大げさかもしれないけど、支えになりたいと思ってはいます。仲間、友達的な感じですね。
――なるほど。同じ目線に立って、ですね。あと、宝塚店さんを外から見たとき、病院もありますしホテルも併設されています。まさに飼ってからのアフターケアというか、動物たちの体調管理や飼い主さんのメンタルケアなど、トータルでサポートをしていくっていう気持ちが具現化していますよね。
小野 これも本社の理解があってというか、立地的な環境もあってというか、東京などでは難しいかもしれませんよね。うちは場所的にも散歩コースにありますし、病院に用事がなくても、特に買い物がなくても、ふらっと寄ってくださる人が多いですね。うれしいことです。
――動物たちへの愛が伝わってきますが、どうして入社されたんですか?
小野 タウンワーク誌を見ていたら、ここの求人が出てて。家からそこまで離れてないから「ちょっと面接だけでも」と思って見に来たときに、なんか印象的な社訓みたいなのがあって。それが「お客様もスタッフも楽しく」なんですが、僕のなかでは、すごい新鮮やったんです。ここに来て14年が経ちましたけど、楽しくやらせてもらっています。
――14年!? お若く見えていたので、年齢不詳ですね(笑)。でも、動物たちや飼い主さんとの触れ合いが楽しいので、見た目も心も若いのかもしれませんね! さっきもラルくんとアキさまが来たときに、スタッフみんなも顔なじみというか、お客さんとペットとスタッフさんの距離が全員近いというか。
小野 それが当店の特色っていうか、うちらが望んでいたのもあるし、お客様がそれが嫌やったら当店には来てないと思うので。あとは終末ケアだったり、最期の別れの瞬間も、ある意味そこまで共有してこそやと思うし。亡くなったことを報告してもらえるっていうのも、もちろん寂しいのはあるけど、なんも思ってない人にはわざわざ言わないと思うんです。だから言ってもらえるとすごくありがたいです。それから新しい子を迎えて、また来てもらえるってこともあるので。
――ラルくんとアキさまの飼い主である、きたむらさんがおっしゃっていて印象的だったのは「こちらに来るときは、買い物に行くんじゃなくてスタッフさんに会いに行くんです」という言葉です。
小野 ありがたいですねえ、それねえ。遊びに来てくれたらそれでいい(笑)。
――経営だけが心配です(笑)。
小野 なんとかかんとか……なんとかかんとか、やっていけてます(笑)。なんもなくても、ぜひペットパートナーズ宝塚店まで気軽に遊びに来てください!
ペットパートナーズ宝塚店
〒665-0873 兵庫県宝塚市長尾町1-14
アクセス:JR福知山線『中山寺』駅より徒歩約10分
TEL:0797-82-1512
営業時間:AM10:00〜PM 7:00 年中無休
ホームページ:https://www.pet-partners.com/shop.html