タイのBLドラマブームの火付け役になった『2gether』。映画『2gether THE MOVIE』が6月4日に公開されると、作品のファンだけでなく、これまで泰(タイ)流ドラマに馴染みがなかった層にも大きな話題を集めている。

物語はタイの大学生たちのキャンパスライフや恋愛模様などが描かれているが、日本とのギャップに驚いた人も多いかもしれない。『2gether』を通してタイでのSNSや恋愛事情についてニュースクランチがお伝えします。

自己肯定感の強いタイ人の待ち受けは自撮り画像

「2gether the series」で印象的に描かれているのが、登場人物たちがスマホでSNSを投稿する際に、リアルタイム配信やストーリー投稿など、さまざまな方法でコミュニケーションやアピール手段として使うところ。互いの顔を見ながら会話をするビデオ通話や、セルフィーを撮る様子もたびたび描かれている。

日本でもスマホやSNSは浸透しているが、作品を見ているとタイ人ほど、SNS大好き、自撮り大好き国民はいないのではないか? と思ってしまった。こんな場所で自撮りするの? ビデオ通話が一般的なの? 『2gether』を見ていて気になったSNSや恋愛について、現地在住でライターとして活動している清水千佳さんに聞いてみました。

――『2gether』を見ていると、スマホを使ったSNSがコミュニケーションツールとしてよく登場しますが、日本とタイでは、SNSへの向き合い方や利用方法で違いはあるのでしょうか?

清水千佳さん(以下、清水) タイで人気のあるSNSは、Facebook・Instagram・Twitter・TikTok・Lineと日本と同じような状況です。ただ日本とタイで異なるのは、その使用時間、目的や方法です。[Digital 2020 Global Digital Overview]という世界各国のデジタル事情のリサーチ結果がありますが、SNSの浸透率は日本が65%、タイが75%とあまり変わらない結果でした。

ただ、SNSを見ている平均的な時間の比較では、日本は45分、タイは2時間55分。持っているアカウントの数も、日本は平均3.4アカウントに対して、タイはなんと10.1アカウント! さらに仕事でもSNSを使用しているかという質問では、日本が15%に対してタイは51%という結果が出ています。この数字を見ただけでも、SNSがタイ人の生活に公私ともに深く関わっていることがわかります。

『2gether』でも、タインがレストランで女の子の自撮りに何度も付き合わされていたシーンがありましたが、とにかくタイ人は自撮りが大好き国民。友達や恋人と食事をしていても、会話よりまず先に自撮り。カフェなど「映える」スポットを訪れたら、友達同士でポーズをとりながらの大撮影会がスタートされる様子は日常的な光景となっています。

私の子どもの家庭教師の先生たちも、教える前に、まず景色の良いベランダで自撮り、というのが定番の始まり方でした(笑)。

ちなみに、携帯の待ち受け画面が自撮り画像というのもかなり一般的。日本だと「ナルシスト!?」なんて言われそうですが「自分大好き!」な自己肯定感の高いタイ人を見ていると、素直にうらやましくもなります。

▲会話よりまず先に自撮りが当たり前 イメージ:PIXTA

――撮った写真をアップするときは画像加工をしたり?

もちろん、タイでは色白信仰が根強いので! ドラマでも2人が仲良く着ていた色違いのユニフォームには、サラワットの背中に、タインのことを指す「カーウ(白い)・オーモー(洗剤の名前)」という単語が書かれていましたよね。これは、タインが「洗剤で洗ったように白い肌を持っている」という意味です。

タイでは、男性でも色白であることがモテる要素のひとつでもあることから、自撮りした画像は必ずと言っていいほど、美肌&色白加工がされています。日本人女性から見ると「男性なら、そこまで色白加工しなくても」と思ってしまうほどですが……。加工をせずに自撮り画像をSNSにアップしているタイ人は、男女問わずほとんど見たことがありません。