『M-1グランプリ』では2年連続で決勝に進出し、現在4本のラジオ番組のレギュラーを持つ若き実力派。なかでも『レバレジーズ presentsMUSIC COUNTDOWN 10&10』が異色(?)の音楽番組として話題となっている。また漫才師としては、先に開催された『第42回ABCお笑いグランプリ』で優勝したばかりだという。確実に成長し続ける彼らは今、漫才やラジオでの“会話”についてどんなことを思っているのだろうか。確かなネタ力とオリジナリティーあふれる会話力で笑いを生み出す彼らに、ラジオについて、漫才について話を聞いた。

※本記事は『+act.(プラスアクト)2021年9月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。

畠中は知らない人が嫌いなんです

――現在、4つのラジオ番組にレギュラー出演されていますが、縁もゆかりもない茨城の放送局からオファーされた音楽番組『レバレジーズ』(MUSIC COUNTDOWN 10&10)について話した記者会見が話題となっていましたね。

伊藤俊介(以下、伊藤) 俺らがやっているなかで、いっちばんおかしいラジオ番組だと思ってるんですよね。始まるとき、(番組スタッフに)音楽には全然詳しくないですよって言ったら、それでもいい。知らなかったら知らないって言っちゃってくださいって言われたので、毎週、新しい曲がかかるたびにちょっとわからないですねぇって本当に言ってます。本来ならありえないんですけどね。

畠中悠(以下、畠中) 特に洋楽はめちゃくちゃ言ってるっていうか、イジっちゃってるところがあります。例えば、(アメリカの)ポロGっていうラッパーは、たぶんイカつい人なんですけど。

伊藤 洋楽って、アーティストの名前がめちゃくちゃ言いにくい人が多くて。

畠中 名前を呼ぶたびに噛んじゃうんですよね。その点ポロGは言いやすいから、ポロG君ってふたりでかわいがってたんです。けど先日、暴力事件を起こしちゃって。すぐ釈放されたみたいなんですけど、紹介できなくなっちゃったんです。

伊藤 今は彼の更生を見守るしかないですね。邦楽に関してはあくまで予想なんですけどっつって後半の1時間は全部、想像で話をしてますし、自分達がやっているなかで、一番ボケたりツッコんだりしてる番組だと思います。とにかく面白いので、一度だけでもいいから聴いてほしいですね。

――ネタ作りもあるなかで、4つもレギュラーのラジオ番組を持っていると、話題がカブらないようにしないといけないという点で大変そうな気もするんですが……。

伊藤 どうにかこうにか転がっていくと言いますか、話題がないときは何もないって言ってます。何もないから休みがあったら何をするかを喋ろう……っていう感じですね。畠中はラジオ向きというか。短い言葉でパンっと入っていくよりも、喋り終わるのを待ってくれる時間があるほうがやりやすいはずなんで、畠中のよさをわかってもらいやすいと思います。

畠中 普段思っていることとか、ライブやネタではなかなか吐き出せないものってあるじゃないですか。笑いにできるものはネタにしますけど、ラジオだと普通の話もできるというか。スベるとかもないですからね。

伊藤 それはでかいよね。

畠中 だから、日常で思ったことについて話す機会や場所があることは、確かにありがたい。僕、いろんな人がいると遠慮しちゃうんですけど、ラジオは話しやすいです。

伊藤 畠中は知らない人が嫌いなんです。

畠中 ふふっ、嫌いではないよ? みんな喋りたいだろうから、(自分は前に)出なくていいかっていうか。わざわざ話してる間に入ったり、我先に話そうとしたりっていうタイプじゃないだけで。

――確かに、畠中さんが活き活きと話しているのが印象的です。

伊藤 ラジオで僕は自らエピソードトークをするより、畠中が言ったことに対して受ける立場でいるほうがいいのかなと思ってるんです。実際、僕らは得意なことが全然違う。畠中は自発的な意見や持論があるし、僕はそういう話題を受けてツッコんだり、気になるところを取りあげたりするほうが向いている。

普段のネタも平場もそうですけど、どっちかって言うと畠中は自分の意見を言うほうだし、僕は誰かが言ったことに対して返したり、起きた現象に反応して思ってることを言ったりするほうなので、ラジオはコンビのよさが一番出ているかもしれないですし、ネタの関係性にも近いと思います。

――知らない人の話に割って入ってまで主張したくないっていう人が、表に出てネタやラジオでのトークで自らのやりたいことを表現してるって面白いですね。

畠中 世間のイメージとネタをやりたい芸人本人って、全く別のものだと思っているんです。山にこもっていい作品を作りたい、そしてその作品をいいと思ってくれる人を探したいと思ってる陶芸家がいるとしますよね。作品を作りたいからといって、その陶芸家自身が作品を作るためにこういうことをやっているって説明する必要はなくて、作品がいいかどうかっていうところだけを見てほしいと思っていてもいい訳じゃないですか。

僕はどっちかって言うとそういうタイプで、もちろん伊藤の協力があってのことなんですけど、ひっそりと家で考えたネタを見せるほうが好きなんです。けど、テレビとかだと自分がこうです、みんな見てくださいって(自分から)見せないといけない部分もありますからね。

伊藤 テレビだと面白いと思われたい気持ち自体が、そこまでないんですよ。

畠中 いや、もちろんあるけどね(笑)。教室の隅っこで面白いことを考えていたようなタイプだというだけです。どこかで(性格が)変わるかなと思ってたんですけど、変わらなかったんです。

伊藤 けど、ちっちゃい声で野次を言ってるときはありますよ。なんでだよーとか。

畠中 ひとりでテレビを見ながらツッコむときってあるじゃないですか。それは、そういう感覚です。

――舞台とかネタとは違う場で、おふたりの人となりを知ってもらえる機会があるのもいいことですよね。

伊藤 ありがたいですね。ラジオは何も邪魔されることがないですから、楽しいです。きちっと(会話が)ハマって、そのまま漫才になりそうだなと、収録を振り返って思うこともありますね。

オズワルドさんへのインタビュー記事は、8月12日発売の『+act. (プラスアクト) 2021年9月号』に全文掲載されています。