バーチャルでも楽しめる楽器の博物館

バスで浜松駅に戻り、次は駅から徒歩8分ほどの場所にある『楽器の博物館』へ。YAMAHAやKAWAI、ROLANDなど世界的な楽器メーカーの本社がある「楽器の街」浜松らしく、日本初の公立楽器博物館として設立されたこの施設は、世界各国から集めたさまざまな楽器を展示している。コロナ前は年間9万人ほどが来館していたが、現在は半分以下になってしまっているとのこと。

入り口付近にずらりと並べられたインドネシアのガムランをはじめ、展示品は質量ともにどれも圧巻なのだが、驚いたのは打楽器のバリエーションの豊富さだ。最もプリミティヴな楽器だけに、世界のどんな地域にも太鼓状のものはあり、大きさも形も音色もさまざまだ(展示品を実際に叩くことはできないが、無料のイヤホンガイドやモニターで100種類以上の音を聴くことができる)。

人間がいるところには必ず音楽があり、楽器がある。つまり、楽器は人の営みの証なのだ。そんなシンプルな事実にぐっときてしまった。

▲世界中から集められた楽器1,300点を展示している『楽器の博物館』

他にも、世界最大級のマリンバや美術品のような17世紀のチェンバロ、スティールパン(ドラム缶で作った打楽器)など、見応えのある展示品がたくさんあるので、音楽や旅が好きな人なら一日中でもいられることだろう。なお、この博物館、現在は「バーチャル博物館」として内部が公開されており、最先端の3D技術によって、館内を実際に歩いているような感覚が味わえるので、ちょっと覗いてみてください。

隣接するミュージアムショップでは、博物館の展示品より小さめではあるものの、実際に演奏できる楽器が販売されている。コロナ前は世界各地に買い付けに行っていたそうで、レインスティックやジャンベ(アフリカの打楽器)、カエル型のギロなどが人気だそう。

店員さんにオススメのお土産を聞いてみると、地元の老舗和菓子店『巌邑堂(がんゆうどう)』とコラボしたオリジナルのお菓子「ピアノサブレ」を教えてくれた。その名の通り、グランドピアノの形をしたサブレで、浜名湖で採れた青海苔を使用しているとのこと。一箱購入して食べてみたが、固く焼き締められた生地は素朴で優しい甘みがあり、青海苔の香ばしい風味が鼻から抜けてとてもおいしい。

▲浜松名産の青海苔を練りこんだ「ピアノサブレ」はミュージアムショップと地元の和菓子店とのコラボ商品

タクシーが来ない! 絶体絶命の大ピンチ!!

今日の公演場所であるサーラ音楽ホールに向かう時間になったので、博物館をあとにする。遠州鉄道・新浜松駅まで歩き、そこから「小林」という駅を目指した。ホールのホームページには、鉄道の最寄駅は書いていないのだが、観光協会の人が「小林駅からタクシーで行くのが一番早いですよ」と教えてくれたのだ。

新浜松から25分で小林に到着し、駅前のタクシー乗り場に向かったが、そこには1台の車もなかった。5分ほど待っても来ないので、タクシー会社に配車依頼の電話をかける。すると「今日はそちら方面を走っている車はないので、行けないかもしれません」とのこと。えーっ!!

お盆で休んでいるドライバーが多いそうで、少ない車のほとんどが街の中心部を巡回しているらしい。4社にかけてみたものの状況はどこも同じ。東京のタクシー事情に慣れきった自分には衝撃的な展開だが、とりあえず「待ってますので来ていただけますか?」とお願いして電話を切った。

時刻はすでに14時。今日の物販は13時半からなので、ひょっとするとEXITの二人は、また売り場にひょっこり現われてファンを喜ばせているかもしれない。この瞬間にも絶好のシャッターチャンスを逃しているかもしれないという焦りで、居ても立っても居られなくなる。なんとか他の手立てはないかと、タクシー以外の登録車両も呼べる「ウーバー」のアプリをダウンロードするも、開いてみたら、なんと「サービスエリア外」……。

完全に想定外の事態にめまいを覚えながら、ワラにもすがる思いでTwitterを開き「これからサーラホールに向かう地元のジッターさんで、車で私をピックアップしてくださる方はいませんか?」と呼びかけたところ、数人のジッターさんがリツイートしてくださった。

しかし待てど朗報はなし。もはや万策は尽きた。絶体絶命のピンチである。

≫≫≫ 明日公開の後編へ続く

※今回の取材は感染対策を徹底したうえで行いました。

▲あなたの街にチャラ男を呼びませんかSP