毎年、世界のラグビー界で11月と言えば、テストマッチの季節。ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカなどの南半球の強豪国をはじめとした代表チームがヨーロッパへ遠征を行い、国際試合を行う。

ワールドカップなどの公式戦と違い、あくまでフレンドリーマッチが毎週欧州各地で行われるという位置付けだが、今年はこの連戦に「オータムネーションズシリーズ」というタイトルがつけられ、多くの代表チームがしのぎを削ることになった。

▲ランキング第5位のアイルランド代表と対戦 イメージ:PIXTA

ランキング第5位のアイルランド代表に完敗

シリーズ開幕前の世界ランキングで第10位につける日本代表のヨーロッパ遠征初戦の相手は、同ランキング第5位のアイルランド代表。この試合で同国代表出場100試合目となる、キャプテンのジョナサン・セクストン(SO。スタンドオフ)に率いられたアイルランドは徹底的に日本を攻め続け、終わってみれば日本は5−60という大差で敗れた。

「最初から相手のプレッシャーを受けていた。自分たちとしてはモメンタム(勢い)の部分でアイルランドにやられてしまった。流れを自分たちで止めることができなかった」とは、この試合で日本のキャプテンを務めたピーター・ラブスカフニの試合後の言葉だ。

「あのトライをコーナーに決めた瞬間は、自分のキャリアの中でも最高の瞬間だった。応援に来てくれた人たちには、とにかく感謝の言葉しかない」。地元ダブリンのアビバスタジアムの約4万人の観衆のなか、自らトライも決めたセクストンは、自身にとって大きなマイルストーンとなった試合を振り返った。

現在36歳。肉体的な負担が非常に大きいラグビー選手としては、ピークを過ぎたと言われてもおかしくない年齢のセスクストンだが、まだまだチームの大黒柱として君臨し続ける。トライを決めた瞬間は、スタジアムの観衆がスタンディングオベーションを送るなど、ホームのサポーターたちは大いに盛り上がった。

「(ヨーロッパ遠征は)あと2試合あるので、自分たちの誇りを取り戻すチャンスはまだある。その2試合に向けて、次はしっかりフィジカルで勝てるよう準備していきたい」。ニュージーランドの名門クラブ、ハイランダーズでのプレー経験もある姫野和樹(NO8)は、残り2試合での挽回を誓った。

日本代表は、13日にポルトガル代表(シリーズ開幕前世界ランキング19位)と、20日にスコットランド代表(同7位)と対戦する。

ランキングでは格下とは言え、ここ2年フランス人のパトリス・ラジスケット監督のもとで確実に実力を上げているポルトガルは決して油断できない相手だ。日本代表と似たプレースタイルで、果敢にボールを展開するランニングラグビーを信条とする。

スコットランドは、2019年ワールドカップで日本に敗れ、決勝トーナメント進出を逃す屈辱を味わっている。地元、エディンバラでの日本との対戦には相当な執念を燃やしてくるはずだ。

「自分たちの誇りを取り戻す」。ダブリンの地で涙を飲んだブレイブ・ブロッサムズ(ラグビー日本代表の海外での愛称)の残りの試合に、期待しよう。