シリーズ史上最難のタイトルを締めくくる名曲

『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』より「この道わが旅」

シリーズ屈指の難易度を誇る『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(以下、ドラクエII)。

「マンドリル」や「ドラゴンフライ」にフルボッコにされ、たどり着いた最後の大地、ロンダルキアで「ブリザード」のザラキに理不尽に殺される…。

この曲は、そんな困難に満ちた冒険の果てに、大神官ハーゴン、そして最終ボスの破壊神シドーを倒した勇者たちを迎えるエンディングテーマです。旅の終わりの祝祭感と、同時に一抹の寂しさをも感じさせる雄大なメロディに酔いしれてください。

90年代にはテレビアニメ『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』のエンディングテーマとして団時朗さんが歌っていたことで、この曲を覚えている方も多いかもしれません。

「履き潰してきた靴の数と同じだけの夢達」

ジュブナイルな歌詞をつけられた、Bメロが軽やかでいて美しいです。

この曲は、長崎国際テレビやテレビユー福島の朝時間帯のお天気情報のBGMに使われたり、卒業式に歌った人も多いとか。

また、オーケストラアレンジとファミコン版のメロディは絶妙に違うので、ドラクエフリークは両方を要チェックですね!

余談ですが、私はこの難易度の高い『ドラクエII』に妙な思い入れがあって、超長い「ふっかつのじゅもん」(パスワード)を覚えているくらいでした。

ふっかつのじゅもんと言えば、入力する画面で流れるBGMを牧野アンナさんが歌った「Love Song 探して」も、いかにも80年代的なアレンジで、2021年でもナウいです。死語ですね。

「この曲が作れたら死んでもいい」と言わせた名曲

『ドラゴンクエストIII そして伝説へ』より「おおぞらをとぶ」

勇者ロトシリーズ、三部作の最終作にして、シリーズ屈指の人気作『ドラゴンクエストIII』。

仲間を編成し、転職もできる自由度の高いゲームシステム! 悪のカリスマ、大魔王ゾーマが登場したときの衝撃!

発売日前日には、販売店の前に徹夜の行列ができるなど、社会現象にまでなったそうです。

この曲は世界中を冒険し、7つのオーブを集め、ついに復活した不死鳥ラーミアを乗り、空を飛んでいるときに流れるBGM。

しかし、このメロディの美しさを、何に喩えられましょうか。言葉にしたら嘘にならないでしょうか。

私はあまりの衝撃にゲームの手を止め、世界を何周もぐるぐると回ってしまったくらいでした。そしてきっと、数多の少年少女も自分と同じようにゲーム音楽に打ちのめされたのではないでしょうか。

4音しか同時に鳴らせない、ファミリーコンピューターの電子音は、オーケストラやロックバンドの伝説のライブに劣ることなく、雄弁に鳴っていました。

『ストリートファイターII』 などの音楽を手がけた作曲家、下村陽子氏(『ライブ・ア・ライブ』や『聖剣伝説レジェンドオブマナ』…最高です!)は、この曲を「最も衝撃を受けたゲーム音楽」と絶賛し、もしこの曲が作れたなら「その瞬間に死んでも構わない」とまで語っていたとか。 

スマホで撮影する写真1枚ほどもない記憶容量のゲームソフトに広がる壮大な世界。ドット絵のグラフィックを雄弁に彩ったのは、すぎやまこういち氏のBGMだったと思います。

ちなみに、オーケストラアレンジでもフルート・オーボエ・クラリネットなどを大々的にフィーチャーし、美しくアレンジされ、新しく追加された中間部が完璧です。

『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』では「おおぞらに戦う」という曲で本曲が抜群のアレンジを施され、そして究極的なまでに感動的なタイミングで流れます!

なお、スクウェア・エニックスは、ドット絵をベースにした背景に、3D的な効果を加える“HD-2D”と呼ばれる手法で制作を行う『HD-2D版 ドラゴンクエスト III』としてリメイクされることを発表しています。これからもワクワクがとまらないですね!