新しい演出プランを新幹線の車中で組み立てる!?
名古屋公演が終わったあと、いくつか改善すべきテーマが浮かびあがってきた。
慣れない新衣装でのパフォーマンスは、実際にステージでやってみなければわからないことが出てくる。そういったことを踏まえたうえで、よりベターなセットリストが組めるのではないか、という考えがスタッフの中で持ちあがっていた。
しかし時間がない。
それに、ツアー中で新たに準備することができないので、基本、楽曲は初日と同じものを演ることになる。あとは組み合わせを変えたり、細かい演出を変えたり……という部分で変えていくしかなかった。
そして、そういう作業をする時間がほんの少しだけあった。
それは名古屋から新大阪へと移動する新幹線の車中! 1時間弱で着いてしまうけれども、この移動中に新しい演出プランを組み立ててしまえば、リハーサルに反映させることができる。超高速移動中に超高速思考&試行。まさに東名阪ツアーでしかできない離れ業である。
申し訳ないのだが、僕は他の取材との兼ね合いがあって、大阪での第1部を取材することができなかった。ただ、早い段階で物販がえらい勢いで売れている、という話が伝わってきた。熱気はもう最高潮である、と。
これはアイドルに限った話ではないが、大阪での初公演というのは苦戦を強いられることが多い。ホンモノ志向が強いからなのか、東京で人気爆発の演目が、大阪で大コケする現象を昭和の時代から幾度となく体感してきた。
だからこそ、観客動員に不安があったのだが、じつは前売り券の段階で大阪公演のほうが、名古屋公演よりも早いペースで売れていてスタッフも驚いたという。
アメフラっシの「ホンモノ」感が大阪の観客のあいだで伝わってくれた、ということだろうか? コツコツと地道に活動してきたことは、ちゃんと形になってきている。
前日の名古屋と比べると、いくつかのセットリストの組み換えがあった。前述したように、これは最初から決まっていたわけではなく、新幹線の車内で急きょ、決められたものだ。
どこをどう変えた、とはあえて言及しないが、これによって新曲のインパクトだけでなく、従来の曲がさらに輝きを放つこととなった。
また、本編の終了時には、最後の曲の前に簡単に締めておいて、曲が終わると何も言わずにそのまま去っていく、という演出も。
これは夏のフェスでも試みてきたことだが、フェスとは違って、単独ライブではこのあとアンコールが待ち構えている。
声が出せなくなったことで、アンコールに向けての盛り上げは非常に難しくなっているが、こういう去りかたをされると「早く続きが見たい!」となって、アンコールを促す手拍子がより熱くなる。
どうしてもグダグダになってしまうトークを挟むよりは、たしかにスムーズな流れ(とはいえ、あのグダグダがいい、というファンもたくさんいるので、そのあたりはなかなか難しいところなのだが……)。
この日は、最初から客席のテンションが高かったこともあって、熱狂の渦が会場全体に広がっていくのがものすごく伝わってきた。