防大女子のOGたちは、現役の防大女子や志望生にどのような感情を抱いているのか。「誇りを持って頑張ってほしい?」「自衛官はたくさんある仕事のうちのひとつ?」。防大女子だった経験を踏まえつつ、多くの防大OGや女性自衛官にも取材してきた松田小牧氏がアドバイスや本音を読み解きます。
防大を志す女子たちへOGからのメッセージ
取材を受けてくれた者たちから、現役の防大生やこれから防大を目指す者へのメッセージを聞いてみた。数としては「たとえ自衛隊をやめても、防大で培った思い出や根性はその後に生きる。入ったからには頑張れ!」というニュアンスのものが多かった。
自衛官として生きていくためのアドバイスより「やめたっていいんだよ」というメッセージを発する者のほうが多いことがとても印象的だった。いかにやめていく者が多いか、幹部自衛官として生きていくことが困難なのかが、そこからも読み取れる。
進学に関しては「深く考えずに防大進学を決めた」という者のほうが、進学後に悩んだり退職したりするケースが多かったことから、とりわけ退職者からは「いろいろな世界があることを理解したうえで、自衛隊という選択をしてほしい」「大学の先をキチンと詰めてから目指すこと」といった意見が多かった。
「貴重な経験はたくさんできるが、一般的な大学生活はできない。失うものもある。それを理解して入ることをお勧めする」という目線だ。
もちろん、なかには「幹部自衛官になりたい、幹部自衛官の仕事がしたい、というビジョンがあって防大に進学するのが1番理想的であり、後悔がないと思うけど、なんとなくやってみたいなって気持ちで挑戦してみてもいいと思う」という声もあった。
「とりあえずやってみて、やめたいと思ったらやめればいい」「やめたって根性はついているから、どこでもやっていける」「自衛隊でも民間でも、防大女子としてのオリジナリティを発揮できる」と彼女たちは言う。
ただし「もし、自分が求めるものがないのであれば、自分の中でリミットをつくること。だらだら続けることは損、後悔につながる。自分の周りでは30歳ぐらいまでにやめた知り合いは、比較的自分の望む形で第二のスタートを切っているように感じる一方、悩んで決断できずにいる人ほど、選択肢がなくなっているように感じる」と話す人もあった。
生活面では「防大の4年間は長いようで短く、短いようで長い。集団生活だからこそ、周りに流されすぎず、芯を持って生活することが必要」「思考停止をしないこと。周囲に流されすぎず壁をつくらず、信じた道を歩いていってほしい」「つらいことも、いつかは糧になると思って前向きにチャレンジしたほうがいい」「自分自身は、もっといろいろ考えて防大でしかできない体験に打ち込むべきだったなと後悔はある。ただ何か一生懸命になってやれることがあればいいのかなとも思う」といった主体性の発揮を求める声が多かった。
実際、どうやって防大生活を乗り越えたのか? という問いかけに「気がつけば時間が過ぎていた」「流されただけ」という答えは多く、このアドバイスには「もっといろいろなことができたんじゃないか」との自らの悔恨も含まれていると感じた。