自衛官も仕事の1つと割り切るのも大事

また、アドバイスとしては、勉学や幹部としての資質を伸ばすことを重視する声が相次いだ。

「最優先は勉強。訓練は基本動作と体力維持さえできていれば、学生舎で習うようなことは将来必要ない。自衛官に必要なものは、幹部候補生学校できちんとした教育体制で教えてもらえる」「自分は胸を張って勉強したとは言えず、それが心残りだから」「防大は資質教育がメイン。そうでなかったら防大の意味はない」と言う。

▲いわゆる卒研部屋。筆者の専攻は心理学 [松田氏所有写真]

ある者は「4年間で学んだ自衛隊的なことは、ほとんど何も身につかなかった」と振り返る。そのような状況では「勉強が1番自分の可能性を広げる行為」となる。何か1つでもプライドを持てるものがあることは、防大生活を送るうえで強みとなるが、女子学生にとっては、それが「勉学」であることが多いことも、勉学を推奨する理由となる。また、部隊に出れば、その「勉学」が自分の可能性を広げることもある。

意識の上では「自衛官も防大生も、一般人と変わらないという認識を持つことは重要」という意見があった。「自衛隊や自分への理想が高い者ほど自衛隊を去っていく」からだ。その一方で「他大学の学生と比較せず、自分が防大生であるということに誇りを持ってほしい」という反対の意見もあった。

どちらの意見も理解できるが、誇りを持つ場合には、自分の能力がある程度伴わなければ苦しくなる。また、前者のような「自衛官もたくさんある仕事のうちの1つ。私は生きるために自衛官をやっている」という割り切りは、自衛官を続けるための1つの考え方にもなる。

※本記事は、松田小牧:著『防大女子 -究極の男性組織に飛び込んだ女性たち-』(ワニ・プラス:刊)より一部を抜粋編集したものです。