見た人は納得できる9組
終了後、21時40分から生中継もされた「決勝進出記者会見」。昨年決勝に進出した見取り図やニューヨーク、決勝進出経験組であるハライチやからし蓮根の名前がないのは、準決勝を見ていない人には波乱に見えるかもしれないが、実際に見た人からすると、この9組は納得できるだろう。
喜びと安堵の中にあっても、しっかりとここでも爪痕を残そうとボケるのが、とても微笑ましかった。そのなかでも真空ジェシカとランジャタイは、とにかくボケ倒していたが、それをスカさず、しっかりと良い味付けを施して笑いでくるんであげ、初進出で緊張しているであろう、ももの2人には返しやすいイジりをする、八面六臂の仕切りを見せる麒麟・川島の凄みを改めて感じた。
「番組」として考えたときに、お茶の間でも知名度のある組を入れるというのは、誰しもが頭をよぎることかもしれないが、それをしない、させない、というのがM-1が年末の風物詩として格式ある大会に成長した所以であると考える。
錦鯉、真空ジェシカ、モグライダー、ランジャタイと並んだ名前を見ると、K-PROライブ? と思ってしまうが、この3組がゴールデンタイムでネタをやると考えただけでドキドキする。「ABCお笑いグランプリ」で優勝し、バラエティ番組も出つつ、プレッシャーがかかるなかでネタを仕上げてきたオズワルドも素晴らしい。ゆにばーすも良くぞ返り咲いた、と感激した(昨年の敗者復活のネタがとても素晴らしかった)。
個人的な感想で恐縮だが、毎年「双子」という縛りでネタを新たな角度で作り続け、しっかりとウケきったダイタクと、賞レースに出なくてもいいぐらいの知名度がありながらエントリーして、ワクワクするようなネタを仕上げてきたアルコ&ピース(来週のD.C.GARAGEが楽しみだ)、もう既に多くのメディアがオファーを出しているだろう、ネタにうすた京介先生の匂いをほのかに感じるヨネダ2000の3組には最大級の賛辞を贈りたいし、敗者復活も楽しみだ。
賞レースというのは、1組の勝者の下に多くの敗者がいるという残酷な図式の上に成り立っているし、結果で感情を露わにする芸人を見せる、という側面もあって、ただ何も考えずに笑いたいから好みじゃない、という意見があるのもよくわかる。
ただ、4分の中に自分たちのこれまでの人生を詰め込む、その表現を何組も見られるのは贅沢以外の何者でもない。確実に人生を変える瞬間に立ち会えるのがM-1の良さだ。今から12月19日の決勝が楽しみで仕方ない。
〇決勝進出者 発表会見【M-1グランプリ2021】