底抜けに明るく賑やかな漫才が身上のインディアンスは、初日の参回目公演に登場。ここ数年はずっと「若手の注目株」という位置付けだったが、昨年の『M-1グランプリ』決勝進出を決定打にブレイクし、人気者の仲間入りを果たした。現在は劇場の出番だけでなく、あらゆるメディアに引っ張りだこの彼らに、吉本興業創業110周年の舞台となった、関西出身の芸人にとっては格別な思いがあるNGKに出た感想を聞いた。
NGKの着ぐるみバイト経験者のなかで初の出演者!?
――今日の晴れの舞台に関わることができた気持ちを聞かせてください。
田渕章裕(以下、田渕) 『伝説の一日』がある、このタイミングで生きていて良かったと思います。時代がズレていたら出れてないですもんね。100周年のときは「ええなぁ」って思いながら見てましたもん。
きむ 10年前は20代やったんで、やっぱりこの30代の脂の乗ってるときに出れているっていうのは大きいですね。
――おふたりとも関西出身ですから、NGKという場所にも格別の思いがあったでしょう。
田渕 僕は新喜劇が好きで、子どもの頃からずっとテレビで見てたんで、同じ日にネタやれたんは感慨深いですね。
きむ 僕は茂造の着ぐるみ(新喜劇のキャラクター。本公演のときにNGKの入り口でお客さんを迎える)に入るバイトをしてたんですよ。社員さんに聞いたら、茂造のアルバイトをしていたやつでNGKに立ったのは僕が初めてらしくて。このバイトした人は、その後、NGKどころか芸人やめていく人が多かったらしくて。だから今日、舞台に立ってるときはけっこう感慨深かったですね。頑張ったな自分、と思いました。
田渕 それが俺のお陰なんじゃないかっていう噂があります(笑)。
きむ なんやそれ!? なんで全部持っていくん?
田渕 「田渕に感謝やな」って社員さんも言ってました。
きむ 言ってないわ!(笑)
――インディアンスは通常の公演のほかにも、単独ライブとか、いろんな芸人さんとユニット組んだりイベントやったりと、常に忙しく動いてる印象がありますが、それは全て漫才に還元するためですか?
田渕 たしかに、一時期ユニットはめちゃくちゃやってましたね。大阪時代から、先輩とかとやらせてもらったり。その人のことをおもろいと思ってるから誘わしてもらうんですけど、そういう先輩方のネタを見て、僕らのネタも変わっていったかもしれないですね。
きむ 自分たちでも、よくイベントやってましたしね。自分たちを追い詰める意味でも、例えば“新ネタ”と“ありネタ”の2本を、5組ぐらいで勝負して勝ち負けを決めるみたいなことをやったりとかね。そういうなかでネタを磨いていった、というのはあるかもしれないですね。
――インディアンスって誰と絡んでもすごいうまくいくし、いたら安心みたいな安定感があります。
きむ たぶっちゃんもこう見えて、人に合わせるのもできるほうだと思うので。
田渕 持ち前の、はい、人柄というか(笑)。
――『M-1』での健闘もあって、今はインディアンスならではの芸を、さらに追究していく段階に入っていると思いますが、“自分たちはこれだ!”というのは何か見つかりましたか?
田渕 結局、最初に思っていたことのまんまなんやなって思いました。自分らで考え過ぎてただけで“変わらんかったんや”って、一番調子乗ってるし、一番明るいし、一番適当やしみたいな「“あいつら楽しそうやな”って思われるランキング」の1位でやれたら勝てるんやなっていうのがわかりましたね。それはたぶん、昔も薄っすら気づいてたことなんですけど、確信は持ててなかった。
きむ ほんまに楽しくゆるくできて、ある意味、お客さんのこと関係なしに、2人がただ遊んでるだけみたいなのができればいいなって思ってたんですけど、なかなかそれを表現するのって難しくて。頭ではわかっていてもできない。それが最近、お互いに自信ついたりとかして、ちょっとずつできるようになってきたとは思いますね。