どこまで書いていいかわからないから全部見せちゃった(笑)

▲2022年1月、LAでまりさん、なおみさんが環さんの誕生日を祝ってくれた時のショット (写真/大坂環氏提供)

――自分の人生とか、これまでやってきたこととかを振り返って、どんな気持ちになった?

大坂 私、すごい感情的な人間なのよ。だから、この本を作るためのインタビュー中とかに涙が出ちゃったり、腹が立ったりとかもあった。インタビューだから昔のことを思い出したりすることもあるわけで、写真見たり、昔のビデオを見たりとかするなかで、そのときに旦那にされたこととかも思い出すのよ(笑)。

私、こんなに若くて、こんなに一生懸命頑張ってたのに、なんでこんなひどいことを?って。こんな若い私に、よくこんなことをしたわね!って思っちゃって。この本を書き始めてから、色々なことを思い出したよ。

――これからは、また自分自身の人生を送れるわけじゃない? 今、何をしたい?

大坂 うーん、今はね、自分では何したいかな。こっちで不動産関係のビジネスを始めてるのね。うちの夫は(出身地の)ハイチ、ハイチで頭の中がいっぱいだから、ハイチによく行ってるし。あとは旅行かな。去年はアフリカ行って、ドバイ行って……ギリシャにも行きたいんだよね。あとイタリア?  行けるときに行かないと、いつ死ぬかわからないからね(笑)。

――この本、最後はハッピーエンドで、めでたしめでたしで終わるんじゃなくて、成功してからの不安も赤裸々に書いているでしょ。急にいろいろな人にアプローチされることへの違和感とか、娘に恋人ができたときの感情とか。

大坂 普通は書かないのかな?(笑)

――どうだろう。でも、その正直さゆえに心に迫るものがあったよ。

大坂 どこからどこまで書いていいっていうのがわからなくて。「自分の人生の本」ってなったときに、どこまでカーテンで隠すかっていう境目がわからないから。結局、全部見せちゃった(笑)。でも、隠すのは自分らしくないなと思って。

――子どもたちが巣立って、本で全てをさらけ出して、気持ち的に楽になった?

大坂 前は、朝起きて、自分の仕事して帰ってきて。夜は、なおみ関係のことや会社のことをしてて、本当に忙しくて寝る時間もなかったけど、今は子どものことはほとんど何もしなくていいし。そういう意味では自分の時間があるから、ようやく自分のための運動ができるようになったね。今はホットヨガをやってるときが幸せだよ。


プロフィール
 
大坂 環 Tamaki Osaka
北海道根室市生まれ。短大を卒業後、札幌市の金融機関に勤務。24歳のとき、ハイチ系アメリカ人のマックス・フランソワ氏と結婚。大阪で5年間ほど生活し、その間に長女まり、次女なおみを出産。夫と共に娘たちをプロのテニス選手に育てるためアメリカに移住し、見事目標を果たした。現在はフロリダ在住。