その道を極めたプロや事情通たちが自分の思う1番の推し、すなわち“我がMAX”をプレゼンするバラエティ番組『1番持ち寄りバラエティ 我がMAX』が、日本テレビ系で7月11日の深夜(23:59~24:54)に放送された。
この日は「スポーツ史に残る番狂わせのMAX」というテーマで、中澤佑二、長谷川穂積、武井壮らとともに登場した、ラグビーの田中史朗(たなか ふみあき)選手は、自らも日本代表として出場した2015年ラグビーワールドカップの南アフリカ戦をプレゼン。日本を勝利へと導いた、ヘッドコーチのエディー・ジョーンズについて語った。
キレたエディーから届いた恐怖のメール
もっとも番狂わせが起こりにくいスポーツといわれるラグビーで、2015年当時、ワールドカップ過去7大会での戦績が、1勝21敗2引き分けという弱小日本が、同戦績25勝4敗という超強豪・南アフリカに対して起こした歴史的な大番狂わせ。
そのターニングポイントを、エディー・ジョーンズのヘッドコーチ就任だと語った田中選手。“小さな巨人”と呼ばれる、鍛え抜かれた体と心を持った田中選手をもってしても「とりあえず練習がキツい」というエディーの練習は、朝の5時から始まって1部練、2部練、3部練……7部練まで続いたそうで、「当時の日本代表にはラグビーが嫌いになった選手もいたと思う」と田中選手は苦笑い。
そして、ただ練習が厳しいだけでなく、規律にも厳しいというのがエディー流。
プランにそぐわないことをしたり、スタジアムの到着が少し遅れたりしても、すぐに“キレる”そうで、俳優としてラグビーが舞台のドラマにも出演した元日本代表のキャプテンの廣瀬俊朗が、当時エディーの考えにそぐわないことをしたときには、明朝に「Anata no okagede team ha mechamecha desu(あなたのおかげでチームはめちゃめちゃです)」とのローマ字のメールが届いたこともあるそうだ(笑)。
メールで追い込まれたかはともかく、練習や規律の面で選手たちを追い込んだエディーの強烈なプレッシャーが、日本代表を肉体的にも精神的にも強くしたことは間違いないだろう。
大逆転を生んだラストプレイでのエディーの指示は?
南アフリカ戦で奇跡の逆転のきっかけとなったのが、試合終了ラスト1分で日本が得たペナルティ。このときのスコアは、29-32で日本が3点のビハインドの状態だった。
ペナルティゴール(3点)で確実に同点に追いつけるこの場面。田中選手曰く、エディーの指示は「ショット(3点)を狙え」というものだったが、主将リーチ・マイケルの元に集まった選手たちの下した決断は「同点だと歴史は変わらない、トライ(5点)を狙いにいこう」という、リスクを冒してのスクラム選択だった。その結果、後半ロスタイムでの歴史的大逆転が生まれたのだ。
規律を重んじるエディーは、ショットの指示に従わなかったことに対してキレていたそうだが、これはエディーのプレッシャーによって鍛え上げられた選手たちの強いメンタルが導き出した決断。事実、試合後のインタビューでは、その勇気ある決断を讃えている。
ちなみに、番組のなかで当時のプレイ映像を見た田中選手が「ボク、この試合見られないんです、泣いてしまうから…」と感極まってしまう場面も。審査員のパンサー向井は「あの涙はドーピング」とイジったが、田中選手のプレゼンが「スポーツ史に残る番狂わせのMAX」というテーマの1番となる“我らがMAX”を獲得した。