ネタを隠して強くできるところが全国ツアーの利点

――まるで漫才のやりとりのようですね(笑)。全国ツアー開催決定のニュースに、田渕さんが「僕らは無類の全国ツアー好き」とコメントを寄せていたのですが、どんなところがお好きなんですか?

田渕 今でこそ配信でも見ていただけるようになったんですけど、劇場のない地方とか生で見たいけどなかなか見られへんっていう方のところまで行けるのは、やっぱりツアーの魅力ですよね。もちろん配信で見ていただけるのもうれしいんですけど、やっぱりライブは生が一番やって思ってるんです。で、でっかい会場で全国5カ所回れたら、初めてライブを生で見たっていう人も増やせるんちゃうかなって。そういうのもあって、ツアーが好きなんですよね。

きむ 僕はもう少し冷静というか。

田渕 冷静……ひんやり……サラダ軍艦?

きむ 違うわ(笑)。僕、目指すべきは『M-1』優勝やと思ってるんです。全国ツアーは次まで2週間だったり1カ月だったり空いてるので、その間にネタを叩きながらめちゃくちゃいい感じに仕上げられるのがいいなと思っていて。あと、東京以外でやるとネタがばれづらいっていうのもあるじゃないですか。ネタを隠して強くできるっていうところが全国ツアーの利点やと思ってますけど、実際に行けば喜んでくださる方もいる。需要と供給がマッチしてるなとも思いますよね。

――全国ツアーで披露する新作漫才は、すでに作り始めてるんですか?

田渕 取り掛かってはいるんですけど、今はどうする?っていう状況で。年々、(ネタの設定や題材が)ぽんぽんと出てくる感じじゃなくなってるところがあるんですよねぇ。ただ、ツアーは僕らがやりたいからやってるものなので、“間に合いませんでした”では洒落にならないじゃないですか。それに内容の伴ったツアーにしたいので、いいネタを作りたいなと思いながら考えてるところなんですけど、二人とも無言な時間が年々増えてきてるというか。

きむ 『M-1』決勝ではこのネタやったし、このパターンもやったし……って、だんだん(できる漫才が)狭まってきてるところがあるのかもしれないですね。今までやってないパターンや前と違う感じのネタが求められるんやろうなとか、考えることが増えすぎてて。ほんまはもっとシンプルでいいんでしょうけど、僕らにはできない設定やシステムも多いから。

田渕 僕らってできることが少ないんですよね。いろんなタイプのネタをするコンビっているじゃないですか。ああいう人たちはすごいなと思いますし、めちゃくちゃ羨ましいです。

――そのできないっていうのは、向いてないみたいなことに近いんですか?

きむ いい意味でも悪い意味でも、“インディアンスってこういう感じ”っていうのがしっかりとあるっていうことですね。そこを逸脱するとウケなかったりもするし、僕たちもやっててやりづらかったりして。

田渕 違うことをすると、違和感を持たれてまうかなっていうところがあるんですよね。僕ら的には楽しかったりおもろかったりするものも100%伝わり切らんというか。今、賞レースにがっつりと出てる期間やから、よりそう思ってしまうのかもしれないですけどね。

きむ 僕、この2~3年、日記をつけてるんです。(アイデアが)出んなぁと思ったら昨年の日記を見返すんですけど、結局、この時期は毎年うんうん悩んでいて。ただ、年末には結局いいネタができてるので、今は悲観せずに考えていこうと思ってます。

インディアンスさんへのインタビュー記事は、発売中の『+act. (プラスアクト) 2022年8月号』に全文掲載されています。