バイトどうしようとかだったのが違う悩みになってきた

――2冠を獲ってから、気持ちに変化はありましたか?

浜田 正直、プレッシャーがめちゃくちゃデカなりましたね。周りの目が面白くて当たり前という感じに変わりますし、『M-1』決勝も行けるでしょ、みたいに見られるのは……うれしいですけど、プレッシャーになってるところは大きいです。

永見 たしかに『M-1』となったら、そういう気持ちになりますけど、最近は日々、プレッシャーと自信の狭間で揺れ動いてると言いますか。毎日思うことが変わるんですよ。プレッシャーも自信も前からあって、ふたつの賞レースで1位を獲る前はもっと低かったところでせめぎ合ってたと思うんですけど、優勝してからはそのふたつの感情どちらも以前より上がっている。人としてデカい男になってるなっていう気持ちですね。

浜田 その過程を噛み締めてるの、すごいね(笑)。

永見 うん。以前はバイトどうしようとかだったのが、どんどん違う悩みになってきて。人としてすごく成長してる感覚があります。

浜田 生活に余裕は出てきたのはいいんですけど、(仕事が忙しくなったぶん)ネタ合わせの回数がめっちゃ減ってきてるっていうのもあって。

永見 ネタに関しては特に決まりごとはないんですけど、新ネタしてないなぁって思ったら、ライブの当日、浜田に『ちょっと台本を書いてみたんやけど、このあとのライブでできそう?』って相談して、合わせてみてできそうならやったり……っていう感じで。あと、『M-1』に向けて9月末に単独ライブを開催しようとはしてますね。

――4年前、『ABC~』で準優勝後、面白さは認められながらも賞レースでは、あと一歩という状況が続いたかと思います。そのなかで、ネタについて意識的に変えていったところはありますか?

永見 ネタ自体はあんまり変わってないと思います。ただ、それぞれの向いてないことがわかってきたぶん、向いてないことをしようとしてるわ、と思ったところは削除したりと、洗練できてはいるのかなと感じていますけど。

浜田 僕だけで言うと、大声を張り上げるネタはなくなりました。で、僕自身の声のボリュームが今までより全てのところで一段階上がっていたり、顔や体をどう向けるかだったりは、より意識するようになりましたね。

――カベポスターさんの漫才って、言葉遊び的な要素が強いぶん、途中で気を抜くと観客が置いていかれるところもあるのかなと以前は感じていたんですけど、今回優勝したネタは“らしさ”のなかにわかりやすさというか、受け入れられるように間口の広くしているように感じたところがありました。

浜田 あぁ、その通りですね。

永見 そうっすね。わかりやすいネタも作りましたし、昔のネタでもセリフとかは変わらないけど、顔とか言い方とかであぁ、こうしたほうが伝わりやすいんちゃうかなっていうのは感覚的に備わってきたので、今やるとウケ方も違うというか。そういう伝える力は身についてきた気がします。

浜田 昔のネタをいま見ると、気づくことが多かったりもして。僕らはテンポとかうまいほうじゃないですけど、4年前に比べるとお互いの呼吸とかボケ、ツッコミの間とか抑揚はうまくなってると思うので、そういう表現力がちょっとずつですけど上がってきたのかなと勝手に思ってますね。

カベポスターさんへのインタビュー記事は、発売中の『+act. (プラスアクト) 2022年10月号』に全文掲載されています。