感情が大きく乱れたとき諜報員がすることは?

先述したとおり、諜報員にとって特に重要な任務のひとつが、協力者の獲得である。

ターゲットを選定し、慎重に相手との信頼関係を築き、ここぞというとき、「我が組織のために働いてくれないか」と切り出す。

相手が「YES」と言えば一安心だが、もし「NO」ならば、相手が任国の治安当局に自分のことを報告するかもしれない。まさに、自分の本当の身分を打ち明ける瞬間は命がけである。

そんな過酷な任務に携わる諜報員に求められるのが、平常心である。

平常心とは危機に動じない精神力だ。自分の正体を見破られていないかと疑心暗鬼にとらわれたり、失敗したらどうしようかと考え怯えていたら、諜報員の心はもたない。

ビジネスパーソンも感情を乱すことがあるだろう。腹が立ったり、気分が落ち込んだりもするだろう。そのようなとき、諜報員はどのように平常心を保っているのか――。

▲感情が大きく乱れたとき諜報員がすることは? イメージ:asaya / PIXTA

かつての諜報員は、「愛国スパイ」か「金銭スパイ」に分かれていた。その後、共産主義社会の誕生で「イデオロギースパイ」が登場した。

もちろん、大義や愛国心だけでは諜報活動はできないし、魅力的な生活や苦しい心の葛藤を支えるために金銭は必要である。

しかし、諜報活動の根本に、大義や愛国という崇高な目的がなければ心が折れてしまう。逆にイデオロギーや愛国心があれば、少々のことでは動じないし、困難から逃げない。

つまり、自分の行動の先に目的、目標があるから困難にぶつかっても平常心を保てるのだ。

この点はビジネスパーソンも大いに参考になる。あなたのなかに強いビジョンがあれば、難しい状況でも耐えられるのだ。

達成のための信念を持つ、当たり前のことだが、ゆるがないものが1つでも自分のなかにあると、何事も“冷静に”“すばやく”達成できるものだ。