2022年データの視点から見る村上打者としてのスゴさ

さて、今年の村上をデータからの視点で見ると、凄まじい数字を叩き出している。各コースのデータを見ても穴らしい穴がない。下記がコース別成績である(9/13時点)。

▲参照:https://baseballdata.jp/playerB/1700084_course.html

各コースの成績を見ても、真ん中の外角以外はすべて3割を超えている。その真ん中の外角の本塁打数は9本と、三振の多さや3割を切る数字をうまくカバーしている。そのため、投手はリスクを避けて外角を攻めても、逆に本塁打にされるケースが多いことがわかる。真ん中から内角に関しては、一番難しいとされる内角高めでも打率.345を記録しており、どのコースや高さも打たれることが多いことがわかる。

9分割のストライクゾーンで8箇所は3割を超えており、比較的抑えている外角も他の打者と比較すると、長打のリスクもあることから、このデータだけを見ても、今年の村上のスゴさが際立っている。

また、対チーム別や球場別のデータを見ても、村上のカバーする力のスゴさがわかる(9/13時点)。

▲参照:https://baseball.yahoo.co.jp/npb/player/1700084/stadium
▲参照:https://baseball.yahoo.co.jp/npb/player/1700084/stadium

対巨人のデータでは、打率はセ・リーグで一番低いものの、本塁打はしっかりと8本を残す結果となっている(しかも9/13の巨人戦では2本塁打を放った)。つまり、得点圏打率の高さと打点の多さが、打率の低さをカバーし、逆に勝負強さを示している。

球場別のデータに目を移すと、東京ドームや神宮球場といった打者が有利とされる球場の打率がじつは低い。神宮球場はホームということもあり(試合数が多いということもあり)、22本塁打を記録している。

一方で、このデータからは、東京ドームで試合する際の巨人が村上を抑えていることがわかる。ただ、打者が不利となる広いバンデリンドームでは、打率・本塁打数・打点・OPSと非常にバランスよく打っている結果が明らかになった。平均飛距離117.9mを記録した点で見ても、広い球場を苦にしない打者ということがわかるし、要所でのスタイルの変化も伺える。

上記のデータなどからも、村上は苦手なコースや球場等で率が残せていなくても、長打や勝負強さでカバーができる傾向が強いことがわかる。さらに、広い球場においても、ものともしない飛距離があるため、高いレベルで状況によってうまく対応できることもわかる。ここまで圧倒的なレベルの成績を残すとなると、相手チームは打たれるにしてもシングルヒットであれば助かったという印象すらあるだろう。

このようにさまざまなデータから見ても、今年の村上は弱点らしい弱点がない打者であり、歴代を見渡してもトップクラスの打者と断言できるのだ。


プロフィール
ゴジキ(@godziki_55)
自身の連載である「ゴジキの巨人軍解体新書」「データで読む高校野球 2022」をはじめとした「REAL SPORTS」「THE DIGEST(Slugger)」 「本がすき。」「文春野球」等で、巨人軍や国際大会、高校野球の内容を中心にコラムを執筆している。今回、新たに「WANI BOOKS NewsCrunch」にてコラムを執筆。Twitter:@godziki_55