10月15日(土)と16日(日)に京都市内の各所で行われていた「京都国際映画祭2022」。今年で9回目の開催となる同映画祭は「映画もアートもその他も全部」をキーワードに、今年も「映画」「アート」「イベント」の3つのカテゴリから、リアルとオンラインのハイブリッドで行われている。

15日のよしもと祇園花月では、「島ぜんぶでおーきな祭連携企画」として、2022年4月に第14回沖縄国際映画祭に出展された伝説的ロックバンド“紫”のドキュメンタリー『紫 MURASAKI〜伝説のロックスピリッツ〜』が上映。舞台挨拶に、メンバーであるジョージ紫、野田孝則監督が登壇した。

舞台挨拶からジョージが消えた!?

紫は1970年、日本復帰前にジョージ紫を筆頭に沖縄にて結成。1976年に1stアルバム『MURASAKI』を発表し日本のロック史に風穴を開け、当時の音楽シーンをリードする存在となる。2007年、全盛期メンバーにJJとChrisを迎え再結成。2020年に結成50年を迎えたが、コロナ禍で記念ライブはキャンセルを余儀なくされバンドは休止状態に。同映画では、そのなかでも歩き続けることを決意したメンバーが、ニューアルバム制作、1年越しの記念ライブに挑む姿を記録している。

作中では、紫メンバーが結成からこれまでの活動、ベトナム戦争景気、沖縄本土復帰当時の熱気を語るほか、本土デビューを直接見ていたLOUDNESSや影山ヒロノブ、紫に影響を受けた聖飢魔IIやXJAPAN、石垣島で紫をコピーしていたBEGINなどが出演、コメントを寄せている。

映画上映後の舞台挨拶では、ガレッジセールがMCを務め、メンバーであるジョージ紫、野田孝則監督が登壇した。

沖縄出身のガレッジセールは、アメリカ統治下時代に生まれた紫の音楽が、日本中のミュージシャンに影響を与えたってことがカッコイイと話す。

そして、ジョージ紫と野田孝則監督を呼び込んだところ、なぜか野田監督だけがステージに。「ジョージさんを見つけたら教えてください」「さっきまでいたのに」と若干慌てながら、舞台挨拶がスタート。

野田監督はロック小僧で、中学生の頃に紫を聞いていたそう。当時は映像もなく、写真も外国のバンドのようで、まさにレジェンドだったと語った。今回の映画については「沖縄のプロデューサーから指名してもらった、そのときは自分でいいのか」という思いだったと振り返りました。

撮影時に苦労したことについては、「(メンバーが)言うことを聞かないこと」と笑わせると、ガレッジの二人も「今(ジョージが)いないですもんね!」と同意。

その後、監督は「撮影期間が1年くらいかかった、そのあいだにメンバー間に何かなければいいな」と思っていたと笑わせると、やっとここでジョージが登場。ゴリからは「どこにいたんですか」「何してたんですか!」とツッコミが。

ジョージは、映画を見た感想として「紫をかっこよく表現できている、すごくいい映画ができたと喜んでます」と話した。

そして、当時を振り返り「実力のないバンドが演奏するといろんなものが飛んできていた、でも紫は一度もそんなことがなかったと話し、クラシックとロックと琉球音楽を融合させようと今も続けている」と力を込めた。

▲『紫 MURASAKI〜伝説のロックスピリッツ〜』舞台あいさつ

70歳オーバー、でももっとうまくなりたい

監督は紫について、「70歳オーバーなのにもっとうまくなりたい、もっといい曲を書きたい、ワールドツアーをやりたいと前を向いているのがすばらしい。そして、魂で演奏し歌っているというのが、骨太なサウンドが続いている秘訣では」と語った。

最年少メンバーのクリスについては、「彼がいないと(この映画を)撮れなかった」とその手腕を称賛。ジョージも「やさしさ、思いやりを持っている、さらに音楽の知識も豊富でなんでもできる、僕の右腕として紫をささえていく存在」と絶賛。さらにヨーロッパでのツアーや新ミニアルバムのリリースなど、今後の精力的な活動についても言及した。

メンバーからのメッセージVTRのあと、ジョージは改めて、この映画で紫を知らない人に広げてほしいとアピール。監督も、年明けから各地での上映が決まり始めていることを明かし、よろしくお願いしますと力を込めた。