ニューヨーク・ヤンキースの来季は、この人の左腕にかかっている!? 見た目はおじさん、だけど投球内容はエース! ちょっと変わったピッチャー、ネスター・コルテス・ジュニアに注目してみました。

思わず大谷翔平選手も苦笑いしたコルテスの変則投球!

昨年、大谷翔平選手が長いMLBの歴史を塗り替える輝かしいMVPシーズンを過ごしている最中に、こんな映像が日本でも話題になったのをご存知でしょうか。

〇大谷翔平も思わず笑ったコルテスの変則投球

こちらの投球芸を披露しているのは、ニューヨーク・ヤンキースの誇るおもしろピッチャー、ネスター・コルテス・ジュニア投手。大谷選手との対戦動画のように、投球のワインドアップを大袈裟に変えたり、投球モーションも角度を都度変えてみたり、とにかく打者を惑わせることには術を問いません(もちろんルールの範囲内で)。

「大リーグの舞台でふざけて許されるのか!」と雲に向かって叫んでるそこの方。こう見えても、コルテス選手はリーグでも屈指のエース級先発で、エンタメと実力を兼ね揃えた球界の宝でございます。今年は初オールスターにも選出されました!

そして見た目の通り、中身も本当に面白さが詰まっている素晴らしいキャラクターでもあります。今回は近年すべてのヤンキースファン、そして多くのMLBファンを魅了しているコルテス選手について紹介をさせていただきます。

球が速くないおじさん(28歳)でも防御率は2点台!

トップの画像を見てくれましたか? 180cm 93kgというぽっちゃり体型を誇り、とても28歳(大谷選手と同期!)には見えない貫禄を持つコルテス選手。恐らくトレードマークの口髭を剃り落とせば5歳くらい若返る気もしますが、そんなことしても面白くないのは本人が一番理解しているはず。

そんなニューヨークの道端に落ちていそうなおじさんの見た目をしたコルテス選手が、ここ2年で残した成績が以下の通り。

 

投球回数こそ多くないものの、防御率2点台を2年連続で残し、三振も多く奪え、投手の能力を数値化したWHIPも低い(=安打と四球を抑えられている)。内容については申し分ないでしょう。

次に、彼の投げる球種を見ていきましょう。平均91.8mphのストレート、カッター、スライダーを中心にチェンジアップ・シンカーを時々混ぜ入れていますが、今や100mph(160km)以上投げる投手がゴロゴロいるメジャーリーグでは、お世辞にも早いとは言えない球速です。

〇3者連続3球三振を決めたコルテスにピッチング

ではいったい、どうやって打者を抑えているのでしょうか? その秘密を以下のように分析しました。

  • ピンポイントの制球力を磨き上げ、見逃ししやすい・空振り取りやすい・強打を打ちにくいコースへ徹底的に投げ込む
  • 早くはないものの、いわゆるノビが大きい(平均より8cm沈まない=打者到達時点が高い)ストレートを投げ、打者がミートをしづらくする
  • 前述の投球ワインドアップやリリースポイント(ボールが指先から離れる場所)を投球ごとに変えることで打者を惑わせる

これらを全てできていることがポイントかと思います。特に最後の点、前述の通り一見ふざけているように見えるものの、投球モーションやリリースポイントをいかに安定をさせるかが、投手としての安定性を保つ鍵であることが一般論とされているなか、あえてその真逆を突き進むことで優位性を獲得している点は、本当にすごいことではないでしょうか。まさに革新性の象徴だと思います。就職活動で面接官に好かれそうなストーリーですね。

〇バッターのタイミングを外すコルテスの投球法

そして考えてみてください。これだけバラバラな動きでも、ちゃんと制球を保てる器用さ、運動神経の良さを! コルテス投手が自身でも言ってた通り、

“Under this body, there’s a guy that’s athletic”(「この見た目だけど、表面下には歴としたアスリートがいるんだぞ」)。

を体現した投手で、見た目で判断をすると他チームは痛い目に遭いますよ!

〇ぽっちゃり体型でもアグレッシブな動きも見せてくれます