四半世紀で過去4番目に悪い数字をたたき出した

こうした中、2019年10月に、消費税が10%に引き上げられたのは、日本経済全体のためにも大きな誤りだった。

アベノミクスを旗印に、日銀が金融緩和策を続けながら、インフレターゲット2%に徐々に近づけてきた動きが、まず14年4月の8%増税で腰砕けになり、さらにこの2度目の増税で台無しになったといえる。

10%増税の直後の2019年10~12月期のGDPは、前期比マイナス1.6%、年換算でマイナス6.3%というひどい数値となった。

これは5四半期ぶりにマイナスである。特に民間部門と公的部門では、民間需要がマイナス11.1%と最悪で、公的需要で少しだけ戻した形だった。

ここ四半世紀における各四半期、すなわち過去100回の四半期の成長率を調べてみたところ、この10%増税後の数値はワースト4だった。その5つを並べてみると左のようになる。

  1. 2009年1-3月期:17.7%減(リーマンショック)
  2. 2008年10-12月期:9.4%減(リーマンショック)
  3. 2014年4-6月期:7.4%減(3%消費増税)
  4. 2019年10-12月期:6.3%減(2%消費増税)
  5. 2011年1-3月期:5.5%減(東日本大震災)

まさに経済史に残る“事件”となってしまったわけだ。5つのうち、リーマンショックと東日本大震災は外的な要因であり、政府の責任ではない。

しかし、消費増税は政府の政治判断だ。「上げれば絶対に景気は悪化する」「アベノミクスは停滞する」と言われ続け、そのうえで決断して景気を悪化させたのだから、弁解のしようもないだろう。

しかも、順位的にはワースト4ということだが、実質はワースト3だ。前回は3%増税だったのに、2019年は2%だ。

3%と2%の違いを加味して比べて見れば、19年のほうが事態は深刻なのだ。

▲経済史に残るほどの深刻な事態 イメージ:kai / PIXTA