自分は時間で動くロボットのようなところがある(笑)
――自分で自分を分析するなら、どうでしょう?
都仁 大学受験のときに自己分析に没頭したことがあるんですが、変なヤツ、特殊な人間だと思いました。生活でも欲に従わないんです。お腹が空いても時間にならないとご飯を食べないし、眠くなっても寝る時間じゃないと絶対に寝ない。基本的に全部、時計に当てはめて生活をしています。
それを崩して人に合わせることもできるんですけど、理性的に固めてしまえば思い通りに動く、ロボットみたいなところがあります(笑)。両親は全然そんな感じではなく、わりと気ままに過ごしていますし、姉も違います。“これってなんでなんだろう”と思うのですが、僕はそうするほうが効率が良くて、生活の質が良くなります。
一定のリズムで行動していると、体のポテンシャルが高い状態にあり、時間も作りやすいです。無駄にご飯を食べたり、無為な時間を過ごすこともない。人間なのかなと思いますが(笑)、そのわりに頭の中は非現実的で、音楽、絵、妄想……芸術になりそうでならないものが渦巻いています。それが余裕につながっているのかなとも思います。
生活で意識することがないぶん、習慣化されていて、無意識に自分がやりたいことに没頭できて、メンタルも構築されている。それが僕の中で出た答えです。高校に入ってから勉強をしたいと思ったらやりたいことが増えて、いかに時間を当てるかを考えていたら、結果的にそうなってきたのだと思います。
――無駄な時間がなくて、受験生みたいです(笑)。
都仁 おかげで受験のときも、生活ペースの移行もスムーズにできました。内面的なことを言うと、勉強が好きで追求するタイプです。一方で情緒的にはいつまでも幼いなと感じます。めっちゃ独り言を言っているんです。関西出身だからボケとツッコミが刷り込まれていて、自分でボケて、突っ込んで、自分で爆笑して。こんな姿は人に見せられません。総合的に言うと、理性で固めている幼いヤツってことになるでしょうか(笑)。
――役者としての目標などはありますか。
都仁 わかりやすく言えば、劇場を出たあとに何か持ち帰ってもらうものがあってほしいです。ドラマなら見終わったあと、見た人の生活がいい方向に変わる何かがあればうれしい。そこが僕の目指しているものです。表現がただの娯楽で終わりたくなく、表現は歌や演技だけじゃありません。まだまだ、いろんなことをやりたいです。
油絵を習っていたこともあり、今はイラストを描いたり、最近はこの年齢になって初めてピアノを弾き始めました。本当に初歩の初歩なので、iPadの有料アプリで練習して。ひとりで500曲ぐらい作っている、天才的な好きなゲームの作曲家さんがいるのですが、その方の曲を弾いています。
そのうちに、どういう音の配置で作る癖があるのかとか、つい研究が始まって(笑)。人の表現って、研究のしがいがあるんです。“こういう音を使うから、こういうイメージになるのか”とか、うまい人のイラストを見ても“こういう色使いをしているってことは、こういうことを伝えたいんじゃないか”とか、色彩心理学の本で勉強したり。いろんなもののなかにヒントを探して、答えを出したいと思っています。
目指すものは役者に限らない。まだまだ自分はインプットの段階。手当たり次第、趣味にして、アウトプットしながら、インプットの質を高めている状態で、10年後、自分が何をやっているのか、全く想像できません(笑)。