「もがき」は売れない芸人の義務
皆さんは三拍子高倉さんという人物を知っていますか? 三拍子さんは言わずもがな、実力のある漫才師であり、『爆笑オンエアバトル』などで素晴らしい結果を出し、ネタをすれば滑り知らずのコンビ。
その高倉さんは、漫才という軸がありながら、早朝にラジオしたり、YouTubeに動画をアップしたり、さらには曲を作り女性用の水着を着て、アイドルのように海で歌って踊るPVまで作っている。その間にTwitterの更新だって欠かさない。なぜか最近では新曲のPVを出している。
みんなのたかみちという芸人を知っていますか?
彼はコンビを解散してからピンで活動する傍、「たかみち店長」というキャラクターでTikTokでバズり、パラスポーツ芸人という肩書きでパラスポーツのイベントにも手を出している。バースデーマンというキャラクターで、いろんな人の誕生日を祝うという奇行でも目立っている。
かくいう私だって、システマをして、モルックして、YouTubeで事務所の悪口を言って、服屋で1日店長して、少し前は中国語で漫才作って中国進出を目論んだ。
「何が目的?」と問われれば、ただただもがいているだけ。それは義務だから、やらなきゃいけない。
ホワイトとかブラックとか関係なく、自ら漆黒の闇に身を投じている。しかし言い訳はできない。なぜなら「好きでやっている」からだ。自分で勝手にもがいているだけだが、結構もがいてるほうだと思っていた。
だが、まだ足りなかったらしい。妻が私に単独ライブを命じた。
「事務所の悪口とか言ってないで単独ライブしなさい。劇場も押さえてスタッフも用意します」
え……単独ライブ……? どうやら、まだまだもがけということらしい。
「キャパ300くらいで」
300? 以前は100もいっぱいにできなかったのに。正直、かなりきつい提案だ。だが、もがきナルシストの私は素直に拒否できない。もがけばもがくほど、その利益がなければないほど、トランス状態になれることを知ってるから。
芸能界で運を引き寄せるためには、労基もビックリ、24時間もがき続けるしかないのだ。
(構成:キンマサタカ)