慰謝料の時効は3年!

慰謝料請求権は事実を知ってから3年が経過すると時効により消滅します。

ただし、3年を経過する前に、裁判を起こして請求をした場合、時効が中断します。
また、相手が債務を承認した場合、例えば、ちゃんと払うと約束したり、あるいはちょっと待ってくれというような発言をした場合も時効は中断し、それから再度3年が経たないと時効になりません。

さらに、3年が経過した後でも、相手が慰謝料を支払うなどと言った場合には、時効の利益を放棄したことになり、請求ができます。

浮気相手に慰謝料を請求することも可

不貞の場合、不貞相手に請求を行うこともできます。不貞相手にだけ請求をすることもできますし、配偶者と不貞相手の両方に請求することもできます。

ただ、不貞相手が結婚の事実を知らずに関係を持ち、知らないことに過失もないような場合は請求ができません。また、婚姻関係がすでに破綻している場合にも、請求はできません。

この点については、浮気相手から、「結婚しているのは知っていたけれど、妻とはもう婚姻関係が破綻していて、離婚することになっていると聞いていた」との主張がなされることがあります。

しかし実際には破綻していなかった場合、そう聞いていたからといって、ほとんどの場合責任を免れることはできません。特に別居もしていないような場合、婚姻関係が破綻していると信じたとしても、過失がないとは言えないでしょう。

ただし、一方から十分な賠償を受けた場合は、もはや他方に請求することはできません。精神的損害なので、どれくらいが十分なのかは曖昧な面もありますが、片方から通常の上限の300万円を受け取っていたら、もはや他方には請求できない場合が多いと思います。また、不貞相手へのみ請求をした場合、配偶者への請求の場合よりも額が低くなる傾向があります。

※本記事は、本書が発売された2016年6月当時の内容です。その後、あらたな判例が出たり、民放の改正あるいは修正協議がなされていたりする可能性もありますので、実際に離婚で悩んでいる方は、著者の吉成安友弁護士など法律家に相談してください。