SMの女王様キャラが生まれたきっかけ
――ちなみに、当時は耳にタコができるくらい聞かれた質問だと思うんですけど、SMネタが生まれたきっかけってなんだったんですか?
にしおか あの当時は手を変え品を変え、なんとかテレビに引っかからないかと思ってやってた時期で、わかりやすいのはキャラをつけることだと。レイザーラモンHGさんが大人気だったから、あの女性版やったらいいんじゃないかと思って、原宿に行ってボンテージ買って、アダルトショップに行って鞭を買って……格好から入った典型ですね(笑)。
――SM嬢キャラは最初から手応えありましたか? 例えば、前にインタビューさせていただいたジョイマンの高木さんは、ラップネタをやった一番最初のとき、地鳴りのような笑いが起きて、これで行けるって思ったらしいですけど。
にしおか カッコいい~! いや、私は全然そんなことなくて、ウケ具合も日によってですね。出てった瞬間に笑いが起こることもあれば、ドン引きのときもあったし。
ただ、芸人さんって男性が多いから、お客さんも女性が多いんですよね。しかも若い女の子。当時は私も今より全然若かったし、自分的にはかなり露出してたので、 “もしかしたらこんなにセクシーだと敵意を持たれて、引かれるかもしれないな”と思ってステージに出たんですけど、意外と若い女の子が多いときのほうがウケが良くて、“私って自分が思ってるほどセクシーじゃないんだ……”って(笑)。
――(笑)。いやいや、そんなことないと思いますよ!
にしおか いや、よくわかりましたよ、あの笑い声を聞いたら(笑)。誰かテレビ関係者に引っかかればいいや、と思ってたネタが同性にウケたのは、どういうこと?って感じだったけど(笑)。でも、うれしかったですね。
――最近だと男性と女性が平等であるべき、聞くこととかも気を使って、という考えがメディアにも浸透しつつありますし、イヤなことはバラエティと言えども答えなくていいんじゃない?って風潮があると思います。ただ、にしおかさんが寝る間もないほど売れていった時期って、まだそういう時代じゃなかったと思うんですよね。だから今の時代に売れてたら、ちょっと違ったのかなとも思うのですが……。
にしおか でも、先ほどお話していただいたみたいに「あのとき見てました」とか「よくあんなスケジュールで頑張ってましたね」って言われるだけで、ありがとうございますって感じです。それこそ、あの頃は先輩が支えてくださったし、同じ番組に芸人さんが出ていたら、芸人さんが助けてくれる。
――いい話……。
にしおか ただ毎日、心は折れてるんですよ。毎日毎日失敗するし、しんどかったです。特にSM嬢キャラでバラエティに出たときは、大御所に悪態をついてお仕置きをするタイミングばかり伺ってました、いつ「このブタ野郎!」って言おうかと(笑)。
――あははは(笑)。悩んだり落ち込んだりしたその頃、先輩の言葉に救われたとか、同期の言葉が励みになったとか、ありましたか?
にしおか たぶん、たくさん言ってもらったと思うんですよ、ただひとつも覚えてなくて……本当に本当に申し訳ないのですが…(笑)。毎日毎日、実力以上の経験をしてるから、あの頃の記憶がおぼろげなんですよね……。たとえば、ひとりだけ名前挙げると申し訳ないくらい、諸先輩方が励ましてくれる雰囲気、映像はたくさん、しっかりと記憶にあるんですけど、言葉と顔が思い出せない……。
――あはははは(笑)。
にしおか ただ、マネージャーさんには話を聞いてもらってきましたね。そもそも、そんなに社交的じゃないです、私自身。外に遊びに行くタイプでもないので、マネージャーさんが私の仕事やプライベートの愚痴まで聞いてくれて、笑ってくれます。
――この連載も、にしおかさんが書いた文章をマネージャーさんが出版社に持ち込んだ、とお聞きしたんですが。
にしおか そうです。「これ営業してくれませんか?」って(笑)。
――それもマネージャーの仕事だと思うんですけど…(笑)。でも、マネージャーさんが読んで面白かったからこそ、しっかり売り込んだんじゃないかなと思うんです。
にしおか そうですかね……あの人、読んだのかな? 感想言ってこないけど…(笑)。冗談です。一番頼りにしていますし、助けてもらっています。